ImageNet(イメージネット)とは

ImageNetとは、画像を認識するAIの研究のために作られた、大規模な画像のデータベースです。1枚ごとに「これは犬」「これは車」といった正解のラベルがつけられた写真を、1400万枚以上も集めたもの。AIに大量のお手本を見せて、画像の中身を見分ける力を鍛えるための教材として使われてきました。2009年に発表された最初の論文の著者は、いずれもプリンストン大学の研究者(フェイフェイ・リーら)。リーはその後スタンフォード大学へ移りました。

1400万枚に「名前」をつけた教材

AIが画像を見分けられるようになるには、「正解つき」のお手本が大量に必要です。ここでいうAIの学習は人間の勉強とは違い、膨大な事例から統計的にパターンをつかむ作業。そのため、写真とその中身を結びつけたデータが多いほど精度が上がります。ImageNetは2万種類を超えるカテゴリに分類された画像を用意し、研究者が自由に使える共通の教材として広まりました。

2012年、AIの流れを変えた舞台

ImageNetを使った認識精度のコンテストで、転機が訪れたのが2012年です。AlexNetと呼ばれる仕組みが、それまでの方式を大きく上回り、2位以下に10ポイント以上の差をつける成績を出しました。これをきっかけに、何層も重ねたニューラルネットワークで学ぶディープラーニングが一気に注目を集めます。ここで思い出したいのは、この出来事はChatGPTが世に広まる約10年も前の話だということ。対話AIが登場するずっと以前から、AIは画像認識の分野で着実に実力を伸ばしていたのです。

TopicAIが見分ける「種類」は、言葉の辞書から借りてきた

ImageNetの2万を超えるカテゴリは、AI研究者が考え出したものではありません。2009年の論文によれば、土台にしたのはWordNet」という英単語の意味の辞書。同じ意味を指す語をひとまとまりにして、上下関係でつないだデータベースで、名詞だけでおよそ8万のまとまりがあります。ImageNetは、その一つひとつに、正解ラベルつきのきれいな写真を500〜1000枚ずつ割り当てる、という発想で作られました。だから犬だけで147種類もの分類が並ぶ。逆に、写真では示しようのない見出しもあります。論文が例に挙げるのは「2歳の馬」。言葉としては存在しても、写真から見分けることはできません。AIが見分けられる「種類」は、誰かが言葉の側から決めた枠にすぎない。分類結果をどこまで信じるかを考えるとき、この前提は効いてきます。

ImageNetに関するよくある質問

ImageNetの画像は、どうやって集めたのですか?
2009年の論文によると、まず画像検索で候補を集めます。検索語には、その概念を指す英語の言い換えをすべて使い、さらに上位の概念の語を足して増やしました。犬種の「whippet」なら「whippet dog」「whippet greyhound」といった具合です。中国語・スペイン語・オランダ語・イタリア語に訳した検索も加えています。それでも、ネット検索で集まる画像のうち正しいものは1割ほど。ここから先は、1枚ずつ人の目で確かめる工程になります。
ラベルの正確さは、どのくらいなのですか?
作った側は、無作為に選んだ80の分類を調べて平均99.7%の精度としています。ただし同じチームは、残る誤りが鳥の種類のような細かい分類に集中していることも認めており、その理由を「この規模を現実的な予算で作るには、専門家ではない一般の作業者に頼らざるを得なかった」と説明しています。大規模なデータは、どこが弱いかを知ったうえで使うものだ、ということです。
画像を見分けるのは、人とAIのどちらが正確なのですか?
コンペを運営したチームが実際に比べています。1000種類の分類を覚えた作業者が1500枚を判定したところ、上位5つの候補にも正解が入らなかった割合は人が5.1%、2014年の優勝モデルが6.8%で、人がわずかに上でした。ただしその人は、練習に500枚を使っています。練習が100枚だけだった別の作業者は12.0%で、モデルの倍近い誤り。しかもその誤りの約半分は「その分類が選択肢にあることに気づかなかった」ためでした。判定にかかる時間は1枚あたりおよそ1分、犬や鳥の細かい品種になると数分かかったといいます。

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