学習とは
学習とは、AIが大量のデータからパターンや規則性を読み取り、与えられた仕事の精度を少しずつ自分で高めていく過程のことです。人間が一つひとつのルールを書き込む代わりに、データという「お手本」をたくさん見せて、AI自身に判断のコツをつかませるのが特徴。ここでいう学習は、人が本を読んで知識を身につけるイメージとは少し違う、機械ならではの仕組みです。
AIの学習の仕組み
AIの中身には、判断の効き具合を決める無数の「つまみ」(パラメータ)があります。学習とは、お手本データと照らし合わせて、答えのズレが小さくなるようにこのつまみを少しずつ調整していく作業のこと。たとえば猫の写真を大量に見せ、「猫」と当てられるまで微調整を繰り返す、といった具合です。この調整に使うデータを訓練データと呼びます。
学習のやり方は、大きく教師あり学習・教師なし学習・強化学習の3種類です。正解つきのお手本から学ぶもの、正解なしでデータの傾向そのものをつかむもの、試行錯誤の結果に「ごほうび」を与えて上達させるもの、と狙いが異なります。こうした学習の積み重ねでできあがった成果物がモデルであり、その土台になる考え方が機械学習や深層学習です。
人間の「学習」との違い
注意したいのは、AIの学習は人間の学習とは別物だという点です。人は少ない経験から意味を理解しますが、AIは膨大なデータに含まれる統計的な傾向を、計算でなぞっているだけ。意味を分かって覚えているわけではありません。だからこそ大量のデータが要りますし、お手本に偏りがあれば、その偏りごと身につけてしまう弱点もあります。
もう一つ押さえておきたいのが、学習(訓練)と推論の違いです。つまみを調整する「練習」の段階が学習、できあがったモデルに実際の質問を投げて答えを出させる「本番」が推論。ふだん私たちがAIを使う場面の多くは、すでに学習を終えたモデルを呼び出す推論にあたります。
ビジネスでの意味
経営の視点では、「AIの賢さは学習に使ったデータで決まる」という点が要になります。手元の良質なデータは、AIを自社向けに育てるための資産。自社のデータで追加の学習をさせる(ファインチューニング)ことで、汎用のAIを自社の業務に寄せていく、といった使い方も広がっています。
Topic「教師あり学習」の”教師”は、人間の先生ではない
学習の代表格である「教師あり学習」。この”教師”と聞くと人間の先生を思い浮かべがちですが、実際に指す相手は違います。ここでの教師とは、一つひとつのお手本データに添えられた「正解ラベル」そのもののこと。たとえば写真に「これは猫」と正解を付けておき、その正解を手がかりにAIが学ぶので「教師あり」と呼ばれます。先生が横についているわけではなく、正解データが教師役を務めている、というわけです。用語の”教師”につられて人がつきっきりで教える様子を想像すると、実態を取り違えてしまいます。
学習に関するよくある質問
- AIの学習は、人間が本を読んで覚える学習と同じですか?
- 別物です。人は少ない経験から意味を理解しますが、AIは膨大なデータに含まれる統計的な傾向を計算でなぞっているだけで、意味を分かって覚えているわけではありません。だからこそ大量のデータが必要になります。
- AIの学習にはどんな種類がありますか?
- 大きく教師あり学習・教師なし学習・強化学習の3種類です。正解つきのお手本から学ぶもの、正解なしでデータの傾向そのものをつかむもの、試行錯誤の結果にごほうびを与えて上達させるもの、と狙いが異なります。
- 学習と推論はどう違いますか?
- つまみ(パラメータ)を調整する「練習」の段階が学習、できあがったモデルに実際の質問を投げて答えを出させる「本番」が推論です。ふだんAIを使う場面の多くは、学習を終えたモデルを呼び出す推論にあたります。
- 「教師あり学習」の“教師”は人間の先生のことですか?
- いいえ。ここでの教師とは、お手本データに添えられた「正解ラベル」そのものを指します。正解データが教師役を務めるので「教師あり」と呼ばれ、人がつきっきりで教えるわけではありません。