ラベルとは

ラベルとは、AI学習させるデータに添えられた「正解」を示す情報のことです。たとえば動物の写真に「猫」と書き添えておくと、その「猫」がラベルにあたります。AIは、こうした正解付きのデータをたくさん見比べることで、写真と正解の結びつきを少しずつ覚えていきます。

特徴量と対になる「答え」

ラベルは、AIへの入力である特徴量と対になる存在です。特徴量がAIに与える「問題」だとすれば、ラベルはその「答え」にあたります。写真というデータ(特徴量)に「猫」という正解(ラベル)を組にしたものを、たくさん用意するわけです。

このように正解が付いたデータを使う学び方を、教師あり学習と呼びます。日常語のラベル(値札やシール)とは違い、ここでのラベルは「データに添えた正解」を指す点だけ押さえておくと、話がすっきりとつながるでしょう。

ラベルの質がAIの精度を決める

AIの賢さは、与えるラベルの正確さに大きく左右されます。間違った正解を教えれば、AIは間違ったまま覚えてしまう。データにラベルを付ける作業はアノテーションと呼ばれ、多くの場合は人の手で一つずつ行われます。

経営の視点でいえば、ここが見落とされがちなコスト要因です。質のよいラベル付きデータをどれだけそろえられるかが、自社でAIを育てるときの勝負どころになります。手元のデータをただ集めるだけでなく、正解をていねいに付けておくことが効いてきます。

Topic正解の精度を落としていたのは、作業者ではなく質問文だった

深層学習の時代を切り開いた画像データ集「ImageNet」。それを使った大規模コンペを5年間運営した研究チームは、総括論文で最大の教訓をこう書き残しました。人にやってもらう作業は、とにかく入念に設計しなければならない。最初に作った作業画面はいつも出来が悪く、たいてい使い物にならなかった、と。質問に少しでもあいまいさがあると(そして、ほぼ必ずあった)、作業者はそこを見つけてしまい、精度が落ちたそうです。実際、写真の中を枠で囲む作業は、囲む人・囲み方が正しいか確かめる人・囲み漏れがないか確かめる人の3人に分け、答えの分かっている画像をまぎれ込ませて作業者の側も検査していました。AIに正解を教える仕事を外部に頼むとき、効くのは人数よりも頼み方の設計。同じ論文の助言は「入念に設計し、継続的に監視し、徹底的に検算せよ」でした。

ラベルに関するよくある質問

ラベルの付いていないデータは、AIに使えないのですか?
使えます。文章を書く生成AIの土台になっている学び方は、人が正解を付けたデータを必要としません。Googleの公式教材は、大規模言語モデルの学習の最初の段階を「教師なし学習の一種」と説明し、文章の一部の単語をわざと隠して、その隠れた単語を当てさせる形で学ばせると述べています。答えは文章そのものの中にあるので、人手で付ける工程が要らないわけです。
人によって正解の判断が割れるときは、どうするのですか?
同じデータを複数の人に付けてもらい、結果を統計的にまとめて1つの正解にするのが定石です。AWSが公開しているラベル付け作業の仕様では、1件のデータに既定で3人(写真の中を枠で囲む作業は5人)が付きます。同じ文書は「作業者を増やせば精度は上がるが、費用も上がる」とし、できあがったものを「本当の正解が何かについての確率的な推定値」と表現しています。正解そのものが推定である、という前提は押さえておきたいところです。
有名なデータでも、ラベル自体が間違っていることはありますか?
あります。2021年に発表された研究は、機械学習でよく使われる10のデータ集の試験用データを調べ、平均で少なくとも3.3%の誤ったラベルがあったと報告しました。画像認識で知られるImageNetの検証用データでは6%以上です。同じ研究は、誤りの割合が高いデータでは、規模の大きいモデルより小さいモデルのほうが実用上は役立つ場合があるとも述べています。精度が伸び悩むとき、モデルより先に正解を疑う価値があるということでしょう。

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