AI生成コンテンツのラベル義務はいつから?EU AI法は8月2日から適用
期限を役割別に分ければ、8月2日までの対応範囲はかなり見やすくなります。
AI生成物がすべて同じ表示対象ではないことをご存じですか?
AI生成コンテンツのラベル義務は、原則2026年8月2日から適用されます。ただし、対象となる内容や対応期限は、AIシステムを提供する側と、AIを使って公開する側で同じではありません。
特に見落としやすいのが、既存の生成AIシステムを提供する事業者に認められた2026年12月2日までの移行期間です。
これは利用企業の表示対応まで一律に延期するものではなく、8月2日と12月2日を分けて準備する必要があります。
結論まず期限より自社の役割を確認
AIサービスの提供者は機械可読マーキングを確認し、AIを使って公開する企業はディープフェイクや一定の公共性テキストの開示を確認します。
AI生成コンテンツのラベル義務はいつから?8月2日が原則
EU AI法のArticle 50は、一定のAIシステムに透明性を求める規定です。
AI生成コンテンツのマーキングや開示に関する義務は、原則2026年8月2日から適用されます。
Article 50が扱うのは、生成物のラベル義務だけではありません。人と直接やり取りするAIであることの告知、感情認識や生体分類システムの利用告知なども含まれており、AI生成コンテンツは透明性義務の一部と捉えるのが正確です。
出典: AI Act Service Desk「Article 50」(英語)
補足EU AI法は段階的に適用されています。高リスクAIの別の期限と、Article 50の透明性義務を混同しないでください。
AI生成コンテンツのラベル義務|8月2日と12月2日の違い
AI生成コンテンツのラベル義務を整理するときは、提供者(provider)と利用者(deployer)を分けます。
日本語ではどちらも「AIを使う会社」に見えますが、条文上の役割と必要な対応は別です。
AIシステム提供者
AIを使う公開企業
8月2日より前に市場投入または提供開始された生成AIシステムについては、提供者がArticle 50(2)の機械可読マーキングへ適合する期限を2026年12月2日まで延ばす移行期間が、AI Omnibusで決まりました。
この規則は欧州議会が6月16日、EU理事会が6月29日に採択済みですが、2026年7月17日時点ではEU官報への公布前で、発効は公布の3日後です。
この移行期間は、利用企業側の開示義務を12月まで一括延期するものではありません。
対象は既存の生成AIシステムを提供する側に限られ、8月2日以降に市場投入するシステムに猶予はありません。
また、8月2日より前に生成され、すでに公開済みの対象コンテンツへ遡ってラベルを付ける必要はないとEU公式FAQは説明しています。
出典: EU理事会「AI規則簡素化の最終承認」(英語)
出典: 欧州委員会「Signing the Code of Practice on transparency of AI-generated content」(英語)
AI生成コンテンツすべてに見えるラベルが必要ではない
「AI生成コンテンツにはすべて同じラベルを表示する」と覚えると、Article 50の役割分担を外します。
提供者の機械可読マーキングと、利用企業の目に見える開示は別の対応です。

- 提供者: 合成音声・画像・動画・テキストを機械可読形式でマークし、人工生成または操作を検出可能にする
- 利用企業: ディープフェイクに当たる画像・音声・動画を人工生成または操作されたものと開示する
- 公共性のあるテキスト: 公共の関心事を知らせる目的で公開するAI生成・操作テキストは開示対象になり得る
公共性のあるAI生成テキストには例外もあります。
人によるレビューまたは編集管理があり、自然人または法人が編集責任を負う場合は、Article 50(4)の開示義務が適用されないと規定されています。

注意「人が見た」だけで例外にしない
確認するのは、レビューまたは編集管理に加え、誰が編集責任を負うかです。公開フローと記録をセットで整えます。
AI生成物の表示ルールを法全体から確認したい場合は、公開済みのEU AI Actの透明性義務と企業への影響も合わせてご覧ください。この記事では、そこから一歩進めて期限直前の公開工程に絞っています。
AI生成コンテンツのラベル義務は日本企業にも関係するか
日本に拠点があるという理由だけで、AI生成コンテンツのラベル義務から自動的に外れるとはいえません。
EU AI法Article 2は、EU域外の提供者・利用者でも、AIシステムの出力がEU内で使われる場合を適用範囲に含めています。
出典: AI Act Service Desk「Article 2」(英語)
まず確認したいのは、EU向けWebサイト、広告、SNS、動画、ニュースレター、顧客向け資料です。公開地域、対象読者、契約、配信設定まで見ないと、EUとの接点を正しく把握できません。
確認個別案件は専門家へ渡せる形にする
本記事は一般情報です。対象地域や公開物を台帳にまとめたうえで、必要に応じてEU法に詳しい専門家へ適用関係を確認してください。
規制の詳細だけでなく、経営判断へどう組み込むかはAIルールや規制を企業が追うときの判断軸でも整理しています。
法務だけに閉じず、広報、マーケティング、情報システムの公開工程までつなげることが大切です。
AI生成コンテンツのラベル義務に備える公開前チェック
AI生成コンテンツのラベル義務へ備える最初の仕事は、表示文の作成ではなく公開物の棚卸しです。
AIツール名だけでなく、最終成果物とEUでの使われ方まで1行で追える台帳を作ります。
- 公開先: EU向けのサイト、広告、SNS、資料か
- 自社の役割: AIシステムの提供者か、業務で使う利用企業か
- 内容種別: 画像、音声、動画、テキストのどれか
- 公開目的: ディープフェイクや公共の関心事を知らせる内容か
- 人の関与: レビュー、編集管理、編集責任者を記録したか
さらに、見える表示だけでなく、ファイルへ付いた機械可読情報が公開後も保持されるかを確認します。SNSや広告へアップロードした後の扱いはサービスごとに変わるため、固定手順を決めつけず、実際の配信工程で検証しましょう。
公開物台帳を社内ルールへつなげる際は、生成AIの社内利用ガイドラインの作り方と、AI事業者ガイドライン改定時の最低ラインが参考になります。
EU行動規範とガイドラインの最新状況
欧州委員会は2026年6月10日、AI生成コンテンツのマーキングとラベル付けを支援する行動規範を公表しました。
行動規範への署名は任意ですが、Article 50の透明性義務そのものは法的義務です。
出典: 欧州委員会「AI生成コンテンツ透明性行動規範FAQ」(英語)
欧州委員会は7月8日、AI Boardは7月9日に、この行動規範がArticle 50(2)、(4)、(5)の義務を適切にカバーする手段だと評価しました。署名企業は遵守を示す共通の枠組みに使えますが、署名だけで遵守が確定するわけではありません。
出典: 欧州委員会「行動規範の適切性評価」(英語)
最新最終ガイドラインは公開時に再確認
2026年7月17日時点では、EU公式で最終版Article 50ガイドラインを確認できませんでした。8月2日までに公表予定のため、公開前に公式ページを再確認してください。
よくある質問|EU AI法と表示期限
QEU AI法のAI生成コンテンツのラベル義務はいつから始まりますか?
AAI生成コンテンツに関するArticle 50の透明性義務は原則2026年8月2日から適用されます。ただし、既存の生成AIシステム提供者によるArticle 50(2)対応には2026年12月2日までの移行期間があります。
QAIで作った画像にはすべてラベルが必要ですか?
AAIで作った画像すべてに同じ目視ラベルが必要と定めた規則ではありません。提供者の機械可読マーキングと、利用企業のディープフェイク等の開示を分けて判断します。
QAI生成テキストにも表示義務がありますか?
A公共の関心事を知らせる目的で公開するAI生成・操作テキストは開示対象です。ただし、人のレビューまたは編集管理があり、自然人または法人が編集責任を負う場合は例外があります。
Q日本企業にもEU AI法は関係しますか?
A日本企業でも、AIシステムの出力がEU内で使われる場合などは適用範囲に入り得ます。EU向けの公開、提供、利用の実態を確認してください。
QAI生成コンテンツの行動規範への署名は必須ですか?
AAI生成コンテンツの行動規範への署名は任意です。欧州委員会とAI Boardは適切な遵守手段と評価していますが、署名だけで法令遵守が確定するわけではありません。
Q8月2日までに企業が確認すべきことは何ですか?
A企業はEU向け公開物、自社の役割、内容種別、公開目的、人のレビューと編集責任、表示と機械可読情報の保持を公開前に確認します。
まとめ|8月2日前に期限と役割を分ける
AI生成コンテンツのラベル義務は、原則2026年8月2日からです。一方、既存の生成AIシステム提供者による機械可読マーキングには12月2日までの移行期間があり、利用企業の開示対応とは分けて考えます。
まずEU向け公開物を棚卸しし、提供者か利用企業か、内容がディープフェイクや公共性テキストに当たるか、人のレビューと編集責任をどう残すかを確認しましょう。表示文を作る前に、対象と責任者を決めることが実務の出発点です。