用語 基本

生成AIとは

生成AIとは、文章や画像、音声、動画、プログラムのコードなど、新しいコンテンツを自ら作り出すAIの一分野です。「○○について教えて」「こんな絵を描いて」といった指示(プロンプト)を与えると、それに応じた答えを生み出してくれます。ChatGPTDALL-Eといったサービスが代表例。2022年ごろから広く知られるようになり、いまではビジネスの現場でも急速に使われ始めました。

プロンプトから生成AIを経て文章・画像・音声・動画・コードの5種類のコンテンツが生まれる流れを示す概念図

生成AIの仕組み

生成AIの土台にあるのは、大量のデータからパターンを学び取る深層学習(ディープラーニング)という技術です。膨大な文章や画像を読み込むうちに、「どんな並びが自然か」という規則性を身につけます。文章を作るタイプなら、学んだパターンをもとに「次に来そうな言葉」を一つずつ予測して文章を組み立てていく、という流れ。

近年の文章系の生成AIは、Transformerという仕組みを使った大規模言語モデル(LLM)が中心になっています。ここで大切なのは、AIが意味を理解して書いているわけではなく、統計的にもっともらしい続きを選んでいるという点。だからこそ、いかにも正しそうに見えて事実とは違う文章、いわゆるハルシネーションも生まれます。便利さの裏に、こうしたクセがあることは覚えておきたいところ。

類似概念との違い

まず押さえたいのは、生成AIはAIという広い分野の一部だということ。AIの中に機械学習があり、その一部に深層学習があり、それを「新しく作る」目的に使う領域が生成AIにあたります。日常では「AI」と「生成AI」がほぼ同じ意味で語られがちですが、本来カバーする範囲は違うのです。

もう一つの違いが、「見分けるAI」と「作るAI」の対比でしょう。迷惑メールかどうかを判定したり、写真に写るものを分類したりするのは、識別を得意とする従来型のAI。これに対し生成AIは、学んだパターンをもとに、訓練データには無かった新しいデータを生み出すところに持ち味があります。

時代の補助線も引いておきます。生成AIを支える要素技術は2014年や2017年ごろから積み上がってきたもので、ChatGPTが登場した2022年に一気に広まりました。「生成AIは2022年に突然生まれた」わけではない、という点は誤解しやすいところ。代表的なサービスには、文章のChatGPTやClaude、Gemini、画像のDALL-EStable DiffusionMidjourneyなどがあります。

ビジネスでの使われ方

実務では、文章のたたき台づくりや長い資料の要約、翻訳の下訳、プログラムのコード生成、企画用のイメージ画像づくりなど、幅広い作業で活用が進んでいます。専門の担当者がいなくても、ふだんの言葉で頼めば形になる手軽さが大きいでしょう。人手のかかる下ごしらえを任せられる場面は、思いのほか多いものです。

一方で、気をつけたい点もあります。出力には事実誤り(ハルシネーション)や、著作権・情報漏えいのリスクがつきまといます。生成AIの答えをうのみにせず、人が内容を確かめ、最終的な責任は人が持つ前提で取り入れるのが安全です。得意な下ごしらえを任せつつ、肝心の判断は人が握る。そんな役割分担が現実的といえます。

Topic本物そっくりはこう生まれる、AIどうしの「いたちごっこ」

画像をつくる生成AIの歴史で大きな節目になったのが、2014年にイアン・グッドフェローらが考案したGAN(敵対的生成ネットワーク)という発想です。2つのAIをわざと競わせるのがミソで、片方はせっせと偽物のデータを作り、もう片方は「本物か偽物か」を見抜こうとします。原論文はこの関係を「偽札づくりの一団と、それを見抜こうとする警察」にたとえました。追いかけっこを繰り返すうちに、偽物は「本物と見分けがつかなくなる」ところまで精度を上げていきます。特に画像生成の飛躍につながった仕組みです。ちなみに文章を作るChatGPTはまた別の仕組み(Transformer)を使っていて、生成AIと一口に言っても中身はさまざま。

生成AIに関するよくある質問

生成AIが作った文章や画像に、著作権はありますか?
AI自身は著作者になれません(著作権法がいう「創作する者」に当たらないためです)。文化庁の文化審議会がまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)は、AI生成物に著作権が認められるかを、人の「創作的寄与」があったかで個別に判断するとしています。判断材料に挙がっているのは、指示(プロンプト)の分量と内容、生成の試行回数、複数の生成物から選んだこと、の3つ。ただし試行回数の多さや、選んだこと自体は、それだけでは創作的寄与とは見なされないとされています。逆に、人が創作的といえる加筆・修正をした部分は、通常は認められます。なお、この文書に法的な拘束力はありません。
顧客名簿など個人情報を生成AIに入力してもよいですか?
個人情報保護委員会が事業者向けに注意喚起を出しています(2023年6月2日)。本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、それが「回答を返す」以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法違反となる可能性がある、という内容です。そのうえで、入力する前に「当該生成AIサービスを提供する事業者が、当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」を求めています。確認すべきは自社の運用だけでなく、使うサービスの利用規約とプライバシーポリシーだ、ということです。
日本では生成AIの利用に法律の規制がありますか?
「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(2025年6月4日公布、同年9月1日全面施行)は、名前のとおり活用を推し進めるための法律で、EUのように禁止事項や罰則を並べたものではありません。条文に罰則規定は1つもなく、事業者について定めた第7条も、活用によって「事業活動の効率化及び高度化並びに新産業の創出に努める」ことと、国や自治体の施策に協力することを求める内容です。ただし規制がゼロという意味ではありません。個人情報保護法や著作権法といった既存の法律は、そのまま適用されます。

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