Stable Diffusion(ステーブルディフュージョン)とは

Stable Diffusionとは、文章での指示から画像を作り出す画像生成AIのモデルです。ChatGPTの登場より3か月ほど早い2022年8月22日に、Stability AIが一般公開しました。最初の版の開発を率いたのは、ドイツのミュンヘン大学(LMU)の研究グループ「CompVis」の研究者たちで、Stability AIが学習用の計算資源を提供し、映像AIのRunwayも協力しています。最大の特徴は、学習済みのモデル本体(重み)が配布されていること。運営会社のサービスを通して使うだけでなく、自分のパソコンや自社のサーバーに入れて動かせます。

ノイズから絵を立ち上げる仕組み

Stable Diffusionが使うのは拡散モデルと呼ばれる方式です。最初は砂嵐のようなランダムな点の集まりを用意し、文章の指示に沿って少しずつノイズを取り除き、絵を浮かび上がらせていきます。彫刻家が石を削って形を出すように、ぼんやりした状態から輪郭を整えていくイメージです。

ただ、画像の一粒一粒(画素)の上でこの作業を繰り返すと、計算がとても重くなります。そこでStable Diffusionは、画像を縦横それぞれ8分の1に縮めた「下書き」の上でノイズを取り、最後に元の大きさへ戻す方式をとりました。これが潜在拡散モデルと呼ばれる工夫で、大規模なサーバーではなく家庭用のパソコンでも動かせる理由の一つです。

DALL·EやMidjourneyとの違い

同じ画像生成AIでも、提供のされ方が大きく異なります。DALL·EやMidjourneyは、運営会社のサーバー上で動くサービスです。利用者はブラウザやアプリから指示を送るだけで、AI本体には触れません。一方のStable Diffusionは、AIが学習で身につけた設定値(重み)そのものを手に入れられるため、手元で動かしたり、自社の画像で追加学習して独自の作風に作り替えたりできます。Stability AIによれば、最初の版からは世界中で数百の派生モデルや改良が生まれました。

版も重ねています。2023年7月26日にSDXL 1.0、2024年10月22日にStable Diffusion 3.5を公開しました。その前の2024年6月に出した「Stable Diffusion 3 Medium」について、Stability AI自身は「自社の基準にも、利用者の期待にも十分に届かなかった」と振り返り、手早い修正ではなく作り直しを選んだという説明です。2026年9月時点で、同社の画像モデルのページが最も強力なモデルとして掲げるのは3.5のほう。

会社で使うとき、ライセンス料はかかる?

答えは版と会社の規模で変わります。2022年の最初の版は「CreativeML OpenRAIL-M」というライセンスで、悪用を防ぐための利用制限つきながら、商用利用も認められています。これに対してStable Diffusion 3.5などの現行モデルは、Stability AIが定める「Community License」の対象です。年間売上が100万ドル(日本円で1億円を大きく超える額)未満の個人・組織なら、商用でも無料です。注意したいのは、この売上がAIと関係のない本業も含めた会社全体の数字だという点。100万ドルを超える会社が商用で使うには、有償のEnterpriseライセンスが必要になります。

Topic約220TBの画像データから学んで、残ったのは3.44GB

Stable Diffusionの中には、学習に使った画像がしまってあるのでしょうか。英国の高等法院が2025年11月4日に出した判決は、専門家の証言として、学習の材料になった画像データ集「LAION-5B」はダウンロードすると約220TB、一方でStable Diffusion 1.1〜1.4の重みは3.44GBのファイルだと記録しました。重みはデータ集のおよそ6万分の1の大きさで、全部の画像をしまい込める計算になりません。判決は、モデルは著作物を保存も再現もしておらず、著作権法上の「侵害複製物」には当たらないと結論づけています(この点は2025年12月、Getty Images側の控訴が認められました)。ただし同じ判決は、初期の版が、同社の写真に重ねてある社名ロゴの透かしに似た模様入りの画像を描いた例について、限定的に商標権の侵害を認めました。画像そのものはしまっていなくても、学習で何度も見た模様は描けてしまう。「重み」が覚えているのは画像ではなく模様の傾向だと、よくわかる一件です。

Stable Diffusionに関するよくある質問

どのくらいの性能のパソコンが要りますか?
2022年8月に公開された最初の版について、Stability AIは画像処理用のメモリ(VRAM)を約6.9GB使うと説明していました。2024年10月に出たStable Diffusion 3.5 Mediumは、文章を読み取る部品を除いて9.9GBのVRAMで本来の性能を出せるとしています。手元にこうしたGPUがなくても、Stability AIのAPIや、同社が提携するAmazon Bedrockなどのクラウドから呼び出して使う方法もあります。
研究目的で使うだけなら、大企業でも無料ですか?
研究目的だけの利用なら、会社の規模に関係なく無料の範囲です。ただし、その研究の成果を製品やサービスに組み込むなら話が変わります。Stability AIへの登録が必要になり、会社の年間売上が100万ドルを超えていれば有償のEnterpriseライセンス(価格は個別見積もり)も結ぶことになります。研究が製品化に近づいた段階で、法務と一緒に確かめておきたいところです。

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