Stability AI(スタビリティエーアイ)とは

Stability AIとは、画像生成AI「Stable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)」を2022年に一般公開したことで知られる、イギリス・ロンドン発のAI企業です。学習済みのモデル本体(重み)を配布する形で公開し、画像生成AIを研究室の外へ広げました。2026年8月の資金調達の発表では、自社を音楽・ゲーム・エンターテインメントのプロ向けにAI製品を作る会社と位置づけています。

2022年、画像生成を一気に身近にした

Stability AIは2019年11月、ロンドンで設立されました(英国の登記簿による)。一躍知られるきっかけになったのが、2022年8月22日のStable Diffusionの一般公開。ChatGPTの登場より3か月ほど前のことです。

ただし、最初の版は同社だけで作ったものではありません。Stability AI自身の説明によると、開発を率いたのはドイツのミュンヘン大学(LMU)の研究グループ「CompVis」の研究者たちで、同社は学習用の計算資源を提供し、公開と配布を担いました。同じ年の11月に出た2.0以降は、初代を率いた研究者の一人ロビン・ロンバッハ氏らが同社で開発を率いました。仕組みもモデル本体も配布されたことで、世界中の開発者が手元のパソコンで画像生成を試せるようになったのです。

画像から、音楽・ゲームの現場へ

同社のモデルは画像にとどまりません。動画の「Stable Video Diffusion」、音楽や効果音の「Stable Audio」、1枚の画像から立体データを作る「Stable Fast 3D」などへ手を広げてきました。2025年10月から11月にかけては、ゲーム大手のEA(エレクトロニック・アーツ)、ユニバーサル ミュージック グループ、ワーナーミュージック・グループと相次いで提携しています。2026年5月には、使用許諾を得たデータだけで学習したとする音楽生成モデル「Stable Audio 3.0」を、重みごと公開しました。

2026年8月25日には、約7,600万ドルの資金調達を発表(累計は約2億3,200万ドル)。EAやソニー・ミュージックグループ、ユニバーサル、ワーナーが出資者に加わりました。権利を持つ側と組んで道具を作るという方向が、はっきり打ち出されています。

経営陣の交代と、著作権の裁判

順風満帆だったわけではありません。2024年3月、創業者のエマド・モスタク氏がCEOと取締役を退きました。同年6月には、視覚効果(VFX)会社Weta Digitalの元CEO、プレム・アッカラジュ氏がCEOに就いています。

著作権の面で注目されたのが、写真大手のGetty Imagesが2023年1月に英国で起こした裁判です。2025年11月4日の高等法院判決は、Getty側の主張の多くを退けました。ただし、学習そのものが著作権侵害にあたるかは判断されていません。学習が英国内で行われた証拠がないとして、Getty側がこの主張を取り下げたためです。残った論点では、モデルを英国で配布したことについて著作権侵害は認められず、初期の版がGettyの透かしに似た模様入りの画像を描いた例に限って、商標権の侵害が認められました。配布をめぐる著作権の判断は、2025年12月にGetty側の控訴が認められており、控訴審の判断しだいで結論が変わる可能性があります。

Topic『タイタニック』の映画監督が取締役に

2024年9月24日、映画監督のジェームズ・キャメロン氏がStability AIの取締役に加わりました。『ターミネーター』『タイタニック』『アバター』で知られる監督です。発表に寄せた言葉は、「私は30年以上前、CGの最前線にいた」。そのうえで、生成AIとCGによる画像づくりが交わるところを「次の波」と呼んでいます。映画のCGを切り開いてきた本人が、次の波を画像生成AIの会社に見たわけです。2026年8月の発表でも、キャメロン氏は取締役会に名を連ねています。

Stability AIに関するよくある質問

Stability AIのモデルは、会社で無料で使えますか?
会社の規模によります。Stable Diffusion 3.5や音楽のStable Audio 3.0などの主要なモデルは「Stability AI Community License」で提供され、年間売上が100万ドル(日本円で1億円を大きく超える額)未満の個人・組織なら、商用でも無料です。この売上はAIと関係のない本業も含めた会社全体の数字で、超える会社が商用で使うには有償のEnterpriseライセンスを結びます。
Black Forest Labsとは、どんな関係ですか?
つながりは人です。初代Stable Diffusionの開発を率いた研究者の一人で、その後Stability AIで開発を続けたロビン・ロンバッハ氏が、Black Forest Labsを共同創業し、CEOを務めています。Black Forest Labs自身も、創業メンバーには潜在拡散モデルやStable Diffusionを生んだ研究者が含まれると説明しています。同社の画像生成AI「FLUX」は、その流れをくむ一社の製品というわけです。

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