FLUX(フラックス)とは

FLUXとは、ドイツのBlack Forest Labs(BFL)が開発する画像生成AIのモデル群です。文章で指示するだけで写真のようにリアルな画像を作れるほか、手持ちの画像を言葉で直す編集にも使えます。無料で公開されている版と有料の版があり、版ごとに仕事で使えるかどうかの条件が違う点が、選ぶときのいちばんの注意点でしょう。

Stable Diffusionの土台を研究した人たちのモデル

BFLを立ち上げたのは、画像生成AIの草分け「Stable Diffusion」の土台になった技術を、ドイツの大学で研究・発表してきた人たちです。2024年8月1日、会社の設立発表と同時に最初の「FLUX.1」を公開。このとき同社は、自社の比較で当時の有力モデルだったMidjourney v6.0やDALL·E 3を、画質や指示への従い方などで上回ったと発表しました。

無料の版と有料の版は、何が違う?

FLUXは、使いやすさと性能のつり合いを取るため、最初から複数の版に分けて公開されてきました。FLUX.1なら、品質を最優先した「Pro」は有料のAPI専用、「Dev」は中身(重み)を無料で配る代わりに非商用に限定、いちばん速い「Schnell」(ドイツ語で「速い」)は商用にも使えるApache 2.0ライセンス、という分担です。2025年11月に出た「FLUX.2」も、有料の「Pro」「Flex」と、重みを配る「Dev」「Klein」に分かれています。

取り違えやすいのは、「無料でダウンロードできる=仕事に使える」ではない点です。Devと、FLUX.2 Kleinのうち90億パラメータ版は非商用ライセンスで、会社が無償で使えるのは本番以外の環境での試験や評価まで。売上につながる業務や、お客さまの目に触れる用途は含まれません。そのまま商用に使えるのは、FLUX.1のSchnellと、2026年1月に出たFLUX.2 Kleinの40億パラメータ版。それ以外を業務に使うなら、有料のAPIか商用ライセンスを選ぶことになります。

仕事ではどう使われている?

FLUX.2では、最大10枚の参考画像を同時に読み込み、同じ人物や同じ商品の見た目をそろえたまま別の場面の画像を作れるようになりました。細かい文字の入った図解や、最大400万画素での画像編集にも対応。商品写真やバナーを何枚も作る仕事に向いた強化です。

もっとも、多くの人はFLUXを単体ではなく身近な製品の中で使っています。AdobeはPhotoshop(ベータ版)の生成塗りつぶしで、2025年9月25日から画像編集用の「FLUX.1 Kontext [pro]」を選べるようにしました。BFLによれば、AdobeやCanva、Meta、Microsoftといった企業が同社のモデルを使っているそうです。2026年6月には、ASUSの次世代ノートパソコン「ProArt」にFLUX.2 Kleinが最初から入って出荷されるとBFLが発表しました。インターネットにつながずに画像を作れるので、社外に出したくない素材を扱う用途の選択肢になります。

FLUX 3で、画像から動画と音声へ

2026年7月、BFLは次の世代「FLUX 3」を発表しました。画像・動画・音声を一つのモデルでまとめて学ぶ作りです。翌8月にはAPIで動画版「FLUX 3 Video」の提供が始まり、音声付きで最長20秒の動画を作れ、せりふは日本語を含む多くの言語で口の動きまで合わせられると同社は説明しています。同じ土台はロボットの動作予測にも広がり、9月にはロボット制御用の「FLUX 3 Action」の重みも公開されました。

Topic画像を作るAIの中に、言葉のAIが入っている

FLUX.2の中には、フランスのMistral AIが作った、画像も読み取れる言語モデル(240億パラメータ)が組み込まれています。BFLの説明によると、言語モデルが世の中の知識や文脈の理解を受け持ち、画像を組み立てる側が物の位置関係や素材の質感、構図の筋道を受け持つという分担。指示文を読み解く仕事は、言葉を専門にするAIに任せているわけです。ドイツの画像AIの頭の一部を、フランスの言葉のAIが担う。欧州発のAI企業どうしの、少し意外な組み合わせです。

FLUXに関するよくある質問

制作会社がお客さまの広告を作るのに、FLUXの商用ライセンスは使えますか?
区分によって違います。BFLの商用ライセンスのうち小規模向けの区分(月1万枚・1ドメイン)は、自社の業務やマーケティング用で、お客さま向けの制作は対象外です。広告制作会社のように、名前を挙げた顧客のために画像を作る場合は、最初の3社までを含み、それを超えると顧客ごとに追加料金がかかる別の区分が用意されています。
自社のパソコンで動かすには、どのくらいの性能が要りますか?
版によって大きく違います。FLUX.2 Kleinの40億パラメータ版は、8GBほどのメモリを積んだ家庭向けのGPUで動き、1秒かからずに画像を作れるとBFLは説明しています。一方、320億パラメータのFLUX.2 Devは、公式の手順がデータセンター向けのH100に相当するGPUを前提にしています。
FLUXとStable Diffusionは何が違いますか?
まず、出している会社が違います。Stable Diffusionを一般公開したのはイギリスのStability AIで、FLUXはその土台となる研究に携わった人たちが作ったBFLのモデルです。学習の方式も、FLUX.1は拡散モデルを特別な場合として含む、より一般的な「フローマッチング」を使っているとBFLは発表しています。

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