プロンプトとは

プロンプトとは、AIに「何をしてほしいか」を伝えるために入力する、指示や質問のテキストのことです。ChatGPTのような生成AIに話しかけるとき、入力欄に打ち込む文章そのものがプロンプトにあたります。同じAIを使っても、プロンプトの書き方しだいで返ってくる答えの質は大きく変わります。AIを使いこなすうえで、もっとも身近で大切な入り口だといえるでしょう。

プロンプトの5つの構成要素(役割・文脈・指示・例・出力形式)を示す枝分かれ図

プロンプトの仕組み

生成AIは、受け取ったプロンプトを手がかりに、その続きとして自然な文章を組み立てて返します。AIはこちらの意図を察してくれるわけではなく、あくまで与えられた文章をもとに「次に来そうな言葉」を計算しているにすぎません。だからこそ、何をしてほしいかが具体的に書かれているほど、ねらった答えに近づきやすくなります。

逆に、あいまいな一言だけを渡すと、AIは解釈の幅が広すぎて的外れな返事をしがちです。プロンプトは、AIに渡す「指示書」のようなものと考えるとイメージしやすいでしょう。指示書がていねいなほど、仕上がりは安定していきます。

なお、プロンプトは文章を作る生成AIだけのものではありません。画像を生み出すAIでも、どんな絵がほしいかを言葉で説明したものがプロンプトにあたります。文章でも画像でも、AIへの注文を言葉で書き表したものがプロンプトだと捉えておくと、応用がきくはずです。

良いプロンプトに含まれる要素

ねらった答えを引き出すプロンプトには、いくつかの要素が盛り込まれています。代表的なものが、次の5つです。

  • 役割:「あなたは経験豊富な編集者です」のように、AIに立場を与える
  • 文脈:背景や前提、想定する読者などの状況を伝える
  • 指示:してほしいことを、できるだけ具体的に書く
  • :望ましい答えのお手本を見せる(Few-shot promptingと呼ばれます)
  • 出力形式:箇条書き、表、文字数など、答えの形を指定する

これらをそろえて伝えるほど、AIの答えは安定していくでしょう。こうしてプロンプトを工夫し、ねらった出力を引き出す取り組みはプロンプトエンジニアリングと呼ばれます。さらに「順を追って考えて」と促すChain-of-Thoughtのように、答えの出し方そのものを指示するやり方もあります。

ビジネスでの使われ方

業務では、よく使うプロンプトを「型」として用意しておくと効果的です。問い合わせ返信、議事録の要約、企画のたたき台づくりなど、毎回ゼロから指示せず、定型のプロンプトを使い回すことで、品質を保ちながら時間を節約できます。社内で良いプロンプトを共有しておけば、担当者によって出来栄えがばらつくのを防げるでしょう。

一方で、気をつけたい点もあります。プロンプトに社外秘の情報や個人情報をむやみに入れないことは、AIを業務で使ううえでの基本です。入力した内容がどう扱われるかはサービスごとに異なるため、利用範囲のルールを社内で決めておくと安心して使えます。

Topic「プロンプト」がうながす向きは、昔と逆だった

いまでこそプロンプトは「人がAIに出す指示」を指しますが、コンピュータの世界では、意味する向きが逆でした。基本ソフトの国際規格POSIXは、対話型のシェル(キーボードから打ち込んだ命令を受け付けるプログラム)について、命令を読み取る用意ができるたびに、決められた変数の中身を画面へ書き出すと定めています。その既定値は「$」。つまり画面に出る「$」は、コンピュータの側が人に「どうぞ入力してください」と合図している印でした。待っていたのは機械のほうだったわけです。それがいまは、人がAIへ「これをやって」と語りかける文章を指す言葉になりました。同じ「プロンプト」でも、うながす側とうながされる側がそっくり入れ替わっている。AIとの付き合い方の変化が、言葉の使われ方そのものにも表れているようで、なかなか面白いところです。

プロンプトに関するよくある質問

お手本(例)を入れると、何が変わるのですか?
主に「出し方」が安定します。Googleの公式ガイドは、例を示すやり方(Few-shot)について、書式・言い回し・扱う範囲・全体の型を整えるために使われることが多い、と説明しています。中身の正しさが上がるというより、望む形へ寄せる手段だと捉えておくと、使いどころを見誤りません。
答えの形は、どこまで指定できるのですか?
かなり細かく指定できます。Googleの公式ガイドは、表・箇条書き・短い売り込み文・キーワード・1文・段落といった形を指定できると挙げています。受け取ったあと何に使うかまで考えて「見出しなしの箇条書き5つ、各40字以内」のように書くと、整え直す手間が減ります。
長くて複雑な依頼は、どう書けばよいですか?
一度に書き切らず、部品に分けます。Googleの公式ガイドは、背景・制約・答えの形などに分解して書くことを勧めており、一発で決めるのではなく少しずつ言い換えて試す前提に立っています。うまくいかないときも、まず指示の具体性から見直すのが早道です。
「プロンプト」はもともとどういう意味でしたか?
もともとコンピュータの世界では意味する向きが逆で、画面に出る「$」や「>」など、コンピュータが人に「さあ入力してください」とうながすサインを指しました。いまは人がAIに語りかける文章を指す言葉になり、うながす側とうながされる側がそっくり入れ替わっています。

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