Chain-of-Thought(チェインオブソート)とは
Chain-of-Thoughtとは、AIに答えだけをいきなり出させるのではなく、答えにたどり着くまでの考える筋道を順を追って示させる手法のことです。日本語では「思考の連鎖」とも呼ばれ、頭文字をとってCoTと略されます。複雑な問題ほど正答率が上がりやすいことで知られています。
Chain-of-Thoughtの仕組み
やり方はとてもシンプルです。AIへの指示(プロンプト)の中で「順を追って考えてみましょう」と促したり、途中の考え方を書いたお手本をいくつか見せたりします。するとAIは結論を急がず、途中の計算や判断を一つずつ言葉にしながら答えへ近づいていく。人が筆算の途中式を書くのと似た発想だと考えるとわかりやすいでしょう。
この手法は、ChatGPTが広く使われるようになる前の2022年に、Googleの研究チームが発表したものです。一足飛びに答えを出させるより、計算問題や複数の手順がいる問いで精度が大きく上がると報告されました。途中の筋道を見せること自体が、AIの「考える力」を引き出すきっかけになるわけです。
いまは推論モデルが内部で行う
登場した当初のChain-of-Thoughtは、利用者が自分でプロンプトを工夫して引き出す技でした。流れが変わったのが、2024年に登場したo1のような「推論モデル」です。これらのモデルは、答える前に考える筋道を内部で自動的に組み立てるようになりました。利用者が「順を追って」と頼まなくても、モデル側が段階を踏んでから答えを返してくれます。
ただし、こうした推論モデルは内部の思考をそのまま見せず、要約だけを返す設計になっている場合もあります。「途中の考えをどこまで見せるか」は、サービスごとに違うものだと捉えておくとよいでしょう。
ビジネスでの使われ方
経営の現場では、答えの正しさだけでなく「なぜそうなるのか」を確かめたい場面が少なくありません。Chain-of-Thoughtには、AIに判断の根拠を順序立てて説明させ、人がその筋道を検証しやすくする効果が期待できます。たとえば見積もりの計算、条件が入り組んだ問い合わせへの回答、複数案の比較といった作業で頼りになるでしょう。
一方で、考える手順を踏むぶん、回答までの時間や費用は増えがちです。すべての作業に使うのではなく、間違いが許されない複雑な判断にしぼって使うと、効果と費用のバランスをとりやすくなります。
Topic「順を追って考えよう」の一言が効くという発見
Chain-of-Thoughtの面白さは、特別な仕組みを足さなくても効くところにあります。2022年の研究で、プロンプトの最後に「Let’s think step by step(順を追って考えてみましょう)」という一文を添えるだけで、AIが急に筋道立った答えを返すようになると報告されました。お手本を一つも見せなくても、たった一言の声かけでAIの考え方が変わる。人間が「落ち着いて、順番に考えてみて」と促されると解けるのによく似ていて、なんとも人間くさいエピソードです。
Chain-of-Thoughtに関するよくある質問
- 「順を追って考えて」と頼むだけで本当に効果があるのですか?
- あります。2022年の研究で、プロンプトの最後に「Let's think step by step(順を追って考えてみましょう)」という一文を添えるだけで、AIが急に筋道立った答えを返すようになると報告されました。お手本を一つも見せなくても、たった一言の声かけでAIの考え方が変わる、人間くさい発見です。
- 推論モデルを使えば、自分で工夫しなくてもよいのですか?
- はい。2024年に登場したo1のような推論モデルは、答える前に考える筋道を内部で自動的に組み立てます。利用者が「順を追って」と頼まなくても、段階を踏んでから答えを返します。ただし内部の思考をそのまま見せず要約だけ返す設計の場合もあります。
- Chain-of-Thoughtを使うときの注意点は?
- 考える手順を踏むぶん、回答までの時間や費用が増えがちです。すべての作業ではなく、間違いが許されない複雑な判断にしぼって使うと、効果と費用のバランスをとりやすくなります。