GANとは

GANとは、2つのAIを競い合わせることで、本物そっくりのデータを生み出す機械学習の手法です。日本語では「敵対的生成ネットワーク」と呼ばれます。実在しない人物の顔写真のような、精巧な偽物を作り出せるのが大きな持ち味。2014年6月に論文で提案され、画像を作るAIの発展を支えてきました。

偽札づくりと警察が競い合う仕組み

GANのおもしろさは、役割の異なる2つのAIを戦わせるところにあります。一方は偽物を作る生成役、もう一方はそれが本物か偽物かを見破る判定役です。提案した論文自身は、生成役を「偽札を作って見つからずに使おうとする偽造団」、判定役を「偽札を見抜こうとする警察」にたとえました。判定役にバレないよう生成役が腕を上げ、見抜こうと判定役も目を肥やす。この競争が、偽札が本物と見分けられなくなるまで双方を鍛えるという発想です。

ただし、この追いかけっこは加減が難しいもの。論文は弱点として、判定役を鍛えないまま生成役ばかり学習させると、生成役が多くの入力から同じ結果ばかりを出し、多様さを失ってしまうことを挙げていました。2つのAIの歩調をそろえて鍛える必要があるわけです。

画像生成AIの土台を築いた

GANが登場したのは2014年で、ChatGPTが世に広まる8年ほど前のこと。文章をやりとりする対話AIが注目される前から、AIに何かを「作らせる」研究は着実に進んでいました。GANはその代表格で、写真のような画像を生み出す技術の流れをつくった立役者です。

一方で、2021年5月にはOpenAIの研究者が「拡散モデルは画像の品質で当時最先端の生成モデルを上回った」とする論文を発表しました。画像を作るAIの方式はGANだけではないと押さえておくと、ニュースを読み違えにくくなるでしょう。

Topic顔を入れ替える「DeepFakes」は、GANとは別の仕組みだった

ディープフェイク=GAN」と思われがちですが、顔の加工の手口と見破り方を整理した2020年の学術調査は、手口ごとに土台を分けて説明しています。実在しない顔を丸ごと作る合成や、髪の色や年齢を変える加工は、主にGAN(StyleGANやStarGANなど)の出番。一方、動画の人物の顔を別人に入れ替える「DeepFakes」と呼ばれる手法は、オートエンコーダー(データを圧縮して元に戻す仕組み)を2つ用意し、圧縮する側を共有させる構成だと紹介されています。同じ「偽の顔」でも、作り方の系統は1つではありません。

GANに関するよくある質問

GANを考えたのは誰ですか?
2014年6月に論文として公開され、イアン・グッドフェロー氏を筆頭著者とする、モントリオール大学の研究者8人が提案しました。著者には、同じ2014年に機械翻訳のアテンション機構の論文も共著したヨシュア・ベンジオ氏も名を連ねています。
GANが作る顔には、偏りがありますか?
学習に使った写真の偏りを受け継ぎます。NVIDIAが2018年12月に発表したStyleGANの論文は、学習用に写真共有サイトFlickrから人の顔写真を7万枚集め、そのサイトが持つ偏りをすべて受け継いでいると自ら断っています。集めたのは利用条件の緩い写真だけだった、とも書かれています。

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