コグニトロンとは

コグニトロンとは、日本の福島邦彦が1975年に発表した、入力された図形の特徴を教師なしで組織化して学ぶ多層ニューラルネットワークです。神経細胞どうしのつながりが強まる仕組みについての仮説を出発点に、層を重ねて単純な特徴から複雑な特徴へまとめる発想を示し、後のネオコグニトロンへつながりました。

英語表記:Cognitron

教師なしでどう学ぶ?

当時NHK放送科学基礎研究所で脳の情報処理を研究していた福島が提案したのは、細胞どうしのつながりの強まり方についての仮説です。ある細胞が入力を受けて反応したとき、近くにそれより強く反応している細胞がいなければ、その入力とのつながりを強める。いわば、近所でいちばん強く反応した細胞だけが学ぶ決まりです。三層パーセプトロンのような従来の方式と違い、細胞一つひとつの反応を細かく指示する「教師」がいなくても、いくつかの図形を繰り返し見せるだけで組織化が進みます。

組織化が進むと、深い層の細胞ほど入力の広い範囲を受け持つようになり、最後の層の細胞は入力全体の情報をまとめて、特定の図形や特徴にだけ反応するようになります。

ネオコグニトロンと何が違う?

福島自身の説明によると、コグニトロンには、入力の図形が変形したり位置がずれたりするとうまく認識できない弱点がありました。これを克服したのが、1980年の論文で発表したネオコグニトロン。脳の視覚野の単純型細胞に似たS細胞の層と、複雑型細胞に似たC細胞の層を交互に重ね、最後の層の反応が図形の位置に左右されず、形や大きさの小さな変化にも左右されない仕組みにしました。名前は似ていますが、コグニトロンとネオコグニトロンは別のモデルです。

現在のCNNとどうつながる?

現在の画像認識で使われるCNNと、どこがつながるのでしょうか。CNNも画像の小さな範囲の特徴を拾い、層を重ねて全体像へ近づく考え方を持ちます。ただし、学習方法、計算資源、層の設計は大きく進化しました。コグニトロンは現代のCNNそのものではなく、階層的な視覚認識へ向かう歴史上の一歩。そう捉えると関係を理解しやすいでしょう。

Topic名前はパーセプトロンにならった

福島は後年のインタビューで、名前の由来を語っています。パーセプトロンが知覚(perception)に「トロン」を付けた名前だったので、認知(cognition)に「トロン」を付けたのだそうです。5年後の改良版ネオコグニトロンは、その名前に「新しい」を意味する「ネオ」を足した形です。

コグニトロンに関するよくある質問

コグニトロンを提案したのは誰ですか?
日本の研究者、福島邦彦です。1975年にBiological Cybernetics誌でコグニトロンの論文を発表しました。
コグニトロンは実際に動かして確かめられたのですか?
はい。1975年の論文では、コグニトロンをデジタル計算機上のシミュレーションとして組み、組織化が進む様子を確かめています。
コグニトロンは現在の画像認識AIにそのまま使われていますか?
そのまま同じ形で使われる技術ではありません。階層的に視覚特徴を組み上げる発想がネオコグニトロンへ発展し、後のCNNにつながる歴史上のモデルです。

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