NVIDIA Synthetic Video Detector(エヌビディア・シンセティック・ビデオ・ディテクター)とは

NVIDIA Synthetic Video Detectorとは、動画がAIで生成された可能性を推定する、NVIDIAの検出用AIソフトです。提供の形は、NVIDIA NIMと呼ばれるGPUで動かす部品型のソフト。動画全体の合成確率に加え、コマ(フレーム)や区間ごとの検出スコアを出し、報道の真偽確認やコンテンツ審査で、詳しく調べる動画の絞り込みを支援します。NVIDIAは2026年7月20日、CGの国際会議SIGGRAPHで発表しました。

何を見て判定する?

話の内容や登場人物の自然さではなく、動画を生成する処理が画素に残す、人の目では気づきにくい細かなクセを調べます。判定に使うのは、画像の特徴をつかむAIモデルのDINOv2とDINOv3の組み合わせ。

見た目の違和感を人が探す方式とは異なり、映像の内部に残る生成由来の信号を検出する考え方です。NVIDIAは圧縮や再変換を経ても有効だと説明する一方、発表時の同社の試験では、圧縮していない動画で最大92%だった正答率が、15%の圧縮で87%、50%の圧縮で82%でした。

出力は何を示す?

主な出力は、動画全体が合成である可能性を0から1で表す確率です。必要に応じて、フレームや時間区間ごとのスコア、CSVやJSON形式の分析結果も得られます。どこで疑わしい変化が強まったかを担当者が確認する手がかりになるでしょう。

この確率だけで「偽物」と断定してはいけません。発言内容が事実か、映っている人が本人か、編集の意図が悪質かは別の調査です。頼りになるのは、来歴情報、元データ、投稿者への確認、人による映像検証の組み合わせ。

業務へどう組み込む?

大量の投稿動画を扱う企業では、AIが出す検出スコアを自動削除の命令ではなく、詳しく調べる順番を決める信号として使えます。導入前に決めたいのは、対象動画、保留の基準、再確認する担当者、異議申立ての手順です。低確率は「本物の証明」ではなく、高確率は「不正の確定」でもないと運用文書に明記しておきます。

では、どんな動画でも調べられるのでしょうか。入力は、動画の圧縮方式として広く使われるH.264で記録したMP4が前提です。コマの間隔が一定でない可変フレームレート(VFR)の動画は対象外で、撮影や変換の方法によってはVFRになるため、拡張子がMP4でも事前の確認が要ります。受領時のファイルを保全し、形式と変換履歴を検出結果と一緒に残しておきましょう。なお、2026年4月20日更新の公式手順書によると、この部品を入手できるのは限定の参加制プログラム(AI for Media Private Access Program)の参加者だけです。

TopicAI用の代表的なGPUでは動かない

動作条件の一覧によると、この部品は動画の圧縮と展開を受け持つ専用回路(NVENC/NVDEC)を必要とします。そのため、この回路を持たないA100、H100、B100では動かないと明記されています。データセンターのAI用として知られるこれらのGPUではなく、RTX PRO 6000 Blackwell Server EditionやRTX 5090などが最適化の対象です。

NVIDIA Synthetic Video Detectorに関するよくある質問

音声付きの動画も入力できますか?
NVIDIAの文書では、音声を含むH.264形式のMP4を入力できます。ただし、説明されている出力は映像の合成可能性であり、音声の真正性まで判定するとは書かれていません。
NVIDIA Synthetic Video Detectorはクラウドでしか使えませんか?
いいえ。NVIDIAは、社内の設備(オンプレミス)や撮影・配信の現場に近い機器、ネットワークから切り離した環境などにも置けると説明しています。自前のサーバーを用意せずに試せるAPIもあり、こちらはNVIDIAのクラウド側で処理されます。
合成確率が何%以上なら削除すべきですか?
すべての業務に共通する削除基準は示されていません。誤検知と見逃しの影響を業務別に評価し、まずは人の再確認へ回す基準として検証してください。

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