Namazu(ナマズ)とは
Namazuとは、既存のオープンウェイトの基盤モデルを、日本の文化や社会的文脈に合うよう事後学習したSakana AIのモデルシリーズです。事後学習は、基礎教育を終えた人へ日本での接客作法を教えるような仕上げの調整。日本でゼロから作った1つの基盤モデルではありません。
2026年3月24日に試作のα版がSakana Chatで公開されました。8月3日には、改良した新しい世代が「Sakana Namazu」の名前でAPIとしても提供され始め、Sakana Chat(8月13日)と翻訳のSakana Translate(8月21日)も新しい世代に切り替わっています。
海外モデルの「答えない」を直す
出発点は、海外製のモデルには開発元の地域の考え方や情報統制の傾向が映り込む、という問題意識です。α版の発表によると、土台のひとつにした中国DeepSeekのモデル(DeepSeek-V3.1-Terminus)は、同社の独自の評価で、政治的に繊細な話題の質問の72%に回答を拒否しました。同じモデルに事後学習を施したNamazu版では、拒否はほぼ0%まで減ったといいます。
土台に使うモデルは固定していません。α版はDeepSeek-V3.1-Terminus、MetaのLlama 3.1(4050億パラメータ)、OpenAIのgpt-oss-120bの3種類に同じ技術を当てた試作で、8月のAPI版は中国Moonshot AIが公開したKimi K2.6を土台にしています。同社は、特定の土台に依存しない技術なので、その時々で優れた公開モデルを選び直せると説明しています。裏を返せば、どの版を使うかで土台の得意・不得意も変わるということです。
会社のシステムから使うには?
API版のSakana Namazuは、OpenAIのAPIと同じ形式で呼び出せます。OpenAI向けに書いた既存のプログラムなら、接続先のURLとAPIキーを差し替えるだけで試せるということです。Web検索とコード実行の機能も最初から組み込まれています。料金は月額なしの従量課金で、100万トークンあたり入力約0.95ドル・出力約4ドル(2026年9月時点)。
ただし、「日本向け」という表示は、国内の情報が常に正しいという保証とは別です。政治、法務、取引条件のように影響の大きい内容ほど、自然な日本語で書かれているぶん正しく見えやすい点に注意が必要。読みやすさと事実の正しさを別々に確かめることが導入の要点になります。
Topic1つだけ名前の並びが逆になった理由
Namazuに関するよくある質問
- Namazuは日本語しか扱えないのですか?
- 日本語と日本の業務に合わせて仕上げたモデルですが、日本語だけではありません。Namazuを翻訳エンジンに使うSakana Translateは、日本語・英語・中国語の間を双方向に訳します(2026年8月の更新でも提供範囲は同じ)。Sakana Translateは誰でも無料で使えると案内されています。
- 土台が中国のKimi K2.6なら、中身は中国製のモデルと同じではないのですか?
- 土台の能力は引き継ぎますが、そのままではありません。API版の案内によると、社内独自のデータで日本語と日本の業務の文脈に合わせたうえで、特定の話題で答えを避けたり出力が偏ったりする傾向を抑える調整を施しています。どこまで効いているかは、自社の業務に近い質問で土台のモデルと並べて試すのが確実です。
- Namazuの重み(モデル本体)はダウンロードできますか?
- 2026年9月時点で、α版の発表にもAPI版の案内にも、Namazuの重みを配布するという記載はありません。利用はSakana AIが運営するチャットや翻訳のサービス、または有料のAPIを経由する形です。