Sakana AIとは

Sakana AIとは、2023年7月に東京で設立された、AIの研究開発と、企業・官公庁向けのAI開発を手がける日本の会社です。自然界の進化や、生き物の群れが見せる「集合知」に着想を得た研究で知られ、巨大なモデルを膨大な計算資源で一から作る競争とは別の道を掲げてきました。2026年からは、金融や防衛の現場に向けたAI開発に加えて、自社のAIサービスも相次いで出しています。

正式名称:Sakana AI株式会社

英語表記:Sakana AI K.K.

誰がつくった会社?

創業者は3人です。CEOのDavid Ha氏は、Googleで東京のGoogle Brainの研究チームを率いた研究者で、その前はゴールドマン・サックスで金利トレーディングの責任者を務めていました。CTOのLlion Jones氏は、いまの生成AIの土台になったTransformerを提案した2017年の論文の、著者8人のうちの1人。ChatGPTの一般公開より5年あまり前の論文です。もう1人の伊藤錬氏(現在は社長)は、外務省を経て、メルカリやStability AIで役員を務めた人物です。

2026年9月24日には、世界モデルや、AIに学び方そのものを学ばせる研究の先駆者として知られるユルゲン・シュミットフーバー氏が、現職と兼任でチーフ・サイエンティフィック・アドバイザー(科学面の助言役)に就き、AIの自己改善を研究する社内組織RSI Labにも関わると発表しました。

どんな研究で知られている?

代表的なのは、公開済みのモデルどうしを進化の仕組みで掛け合わせる進化的モデルマージ(2024年3月)と、研究のアイデア出しから論文執筆までをAIに任せるThe AI Scientist(2024年8月)です。The AI Scientistの論文は、2026年3月に英科学誌Natureに掲載されました。

根にあるのは、「知的な生命は、資源の豊かさではなく乏しさから生まれた」という考え方。同社は2025年11月の資金調達の発表でこう述べ、計算資源を際限なく注ぎ込むやり方が、資源の限られた日本に本当に合うのかと問いかけています。

失敗も公表してきました。2025年3月には、AIが書いたGPU向けプログラムの速さを過大に発表していたとして、David Ha氏が謝罪しています。原因の一つは、AIが速さを測る仕組みの抜け穴を突き、本来すべき計算の一部を省いていたこと。同社はこれを報酬ハッキングと呼ばれる現象だと説明し、ごまかしは一部のケースに限られていたとしています。AIの成績は、測り方の穴で実力以上に見えることがあるという教訓です。

会社で使えるサービスはある?

2026年6月には、初の商用製品として、テーマを渡すと最大8時間ほど自分で調べ続けて戦略調査のレポートにまとめるSakana Marlinを提供開始しました。ほかに、複数のAIモデルを仕事に応じて組み合わせ、1つのモデルのように使えるSakana Fugu、日本語に特化した大規模言語モデルのAPI「Sakana Namazu」(8月)、ブラウザで試せるSakana Chat、翻訳のSakana Translateがあります。Sakana Namazuは、中国のMoonshot AIが公開したKimi K2.6を土台に、日本語と日本の業務に合わせて仕上げたモデルです。

企業や官公庁向けには、業務に合わせてAIを作り込む開発を進めています。三菱UFJ銀行とは2025年5月に複数年の包括的な提携を結び、大和証券グループやSMBCグループとも共同開発を進めてきました。防衛の分野では、2026年7月に防衛省と、情報分析の業務に必要なAI機能を調査・実証する契約を締結。9月にはSCSK・住友商事との3社で包括業務提携を発表しています。

資金面では、2025年11月に発表したシリーズBの調達額を総額2億米ドル(同社の換算で約320億円)とし、調達後の企業価値は約27億米ドルと公表しています(2026年4月の更新時点)。出資者には三菱UFJフィナンシャル・グループやGoogle、NVIDIA、米政府系の投資機関In-Q-Telなど、国内外の企業が並びます。

Topicロゴの赤い魚は、群れから離れて泳いでいる

社名の「Sakana」は、日本語の「さかな(魚)」から来ています。ロゴに描かれているのは魚の群れ。単純なルールで動く魚たちが集まって一つのまとまりになる姿を、研究に自然の知恵を生かしたいという思いに重ねています。よく見ると、群れから離れて泳いでいく赤い魚が1匹。同社の説明によると、これは「みんなと同じことをするのではなく、次に来ると信じるものを追いたい」という意思の表れです。

Sakana AIに関するよくある質問

Sakana AIは、自前で巨大なAIモデルを作っているのですか?
一から巨大なモデルを作る競争には加わらない立場です。同社は、日本のモデル開発は、すでにある高性能なモデルを目的に合わせて仕上げる「事後学習」に力を注ぐべきだとし、研究もそこへ集中させると述べています。日本の文化や価値観に合ったAI(ソブリンAI)を、米中の巨額投資とは違う形で実現するための選択です。
会社で試すなら、何から始めればよいですか?
目的で入口が分かれます。まず触ってみるなら、ブラウザで使えるSakana Chat。自社のシステムに組み込むなら日本語特化のAPI「Sakana Namazu」で、月額費用はなく、100万トークンあたり入力約0.95ドル・出力約4ドルの従量課金です。OpenAIと同じ形式のAPIなので、既存のプログラムは接続先とAPIキーを差し替えるだけで試せます。戦略調査を任せるSakana Marlinは事業者向けで、1回の調査に100クレジット(都度購入なら1クレジット約98円)、月額約15万円のProプランもあります(いずれも2026年9月時点)。

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