AIの進化が「速すぎる」と米国成人64%が回答 AP-NORC調査が示す受け止め
追う情報を自社の仕事に関係する変化だけに絞れば、AIの進化の速さに振り回されにくくなります。
米国では成人の64%がAIの開発を「速すぎる」と答えましたが、この数字は何を尋ねた結果なのでしょうか?
AIの進化が速すぎて、自分や自社だけが取り残されているように感じることはないでしょうか。
AP-NORC(APノーク)が2026年10月8日に公表した世論調査では、米国の成人の64%が、米国内のAI技術の開発は「速すぎる」と答えました。
この64%が何を尋ねた結果なのかを押さえておけば、世間の数字に自分の焦りを重ねずに済み、自社で追う情報の範囲も落ち着いて決められます。
AIの進化は速すぎる?AP-NORC調査で64%が答えた設問
AIの進化が速すぎると答えた64%は、AP通信とシカゴ大学NORCの共同研究機関AP-NORCが、2026年9月24〜28日に米国50州とワシントンDCの18歳以上の2,140人から得た回答です。
回答者は確率に基づく抽出で選ばれた調査パネルの参加者で、SNSで自由に参加できるアンケートとは別物です。
全体の標本誤差(全員に尋ねた場合とのずれの目安)は±2.9ポイントで、ほかの種類の誤差もあり得ると調査方法の説明は断っています。
出典: AP-NORC「SURVEY METHODOLOGY」(PDF・英語)
設問は「米国内のAI技術の開発は速すぎるか、十分な速さではないか、ほぼ適切な速さか」を選ぶ形で、回答者がAIを使いこなす能力は尋ねていません。
開発の速さを尋ねた設問の回答内訳(2026年9月調査)
| 回答 | 割合 |
|---|---|
| 速すぎる | 64% |
| ほぼ適切 | 27% |
| 十分な速さではない | 8% |
| 分からない | 1%未満(集計表の表記は*) |
| 未回答・回答拒否 | 1% |
この内訳を社内で紹介する時は、米国の成人が米国内のAI開発の速さを評価した結果だと添えると誤解を防げます。
出典: AP-NORC「The September 2026 AP-NORC Center Poll」調査票と集計結果(PDF・英語)
「速すぎる」の受け止めは支持政党や年齢で違うのか
「速すぎる」と答えた割合は民主党支持層が76%、共和党支持層が54%と差があるものの、どちらの支持層でも約半数以上が同じ評価です。
支持層には党に近い無党派の人も含まれ、支持層ごとの誤差は全体より大きくなります。
出典: AP-NORC「Most adults think AI is developing too fast」(英語)
年齢では、AP通信の記事が30歳未満のほうが60歳以上より速さへの懸念が強いと伝えていますが、年齢別の割合は概要や集計表に載っていません。
AIの利用頻度ごとの集計もそこには見当たらないため、「若い人やよく使う人は速さを気にしない」と決めつけないほうが安全です。
AIの進化をめぐり米国の成人が政府に重視してほしいこと
同じ調査で米国政府のAIへの取り組みに何を重視すべきかを項目ごとに尋ねると、AIを人間の制御下に置くことと米国の労働者を守ることが特に多く挙がりました。
政府のAIへの取り組みで重視すべき項目(2026年9月調査)
| 項目 | 極めて/非常に重要 |
|---|---|
| AIを人間の制御下に置く | 81% |
| 米国の労働者を守る | 77% |
| 環境への害を抑える | 69% |
| 米国経済を成長させる | 63% |
| 技術革新を後押しする | 51% |
| 中国など他国と競う | 45% |
支持政党別では、人間の制御、労働者の保護、技術革新を重視する割合が近く、環境と他国との競争で見方が分かれました。
注意81%と77%は政策への賛否を示す数字ではない
この設問は6つの項目それぞれの重要度を聞いたもので、規制や開発停止への賛成率でも、仕事を失う人の割合でもありません。
「速すぎる」と答えた理由は尋ねておらず、2つの設問を掛け合わせた集計も公表された集計表にはないため、64%の理由を制御や雇用への懸念だと言い切れません。
2つの設問は企業の責任も直接尋ねていないため、読み取れるのは政府に何を優先してほしいかという期待までです。
期待とは別に、規制が実際に変わったかは効力のある文書で確かめる必要があります。
AIの進化に「ついていけない」不安と64%は別の問い
AIの進化についていけないと不安を感じていても、AP-NORC調査の64%をその不安の裏付けとして読むことはできません。
設問が尋ねたのは米国内のAI開発の速度への評価で、AIを使いこなせているかや知識が追いついているかは含まれていないからです。
64%がAI開発の停止に賛成している
日本でも同じ割合が不安を感じている
民主党と共和党の支持層でともに約半数以上が同じ評価
社内で「ついていけない」という声が出た時も、世論の数字より先に任せる作業と人に残す判断を示すと、不安を言葉にしやすくなります。
その際の説明と研修の順番は、社員の不安に応える説明と研修設計が参考になるでしょう。
日本の調査と比べる時に押さえること
日本の成人に同じ設問で尋ねた比較できる資料は、私たちが2026年10月に調べた範囲では見つかっていません。
近いテーマではJIPDECが2026年1月に従業員50人以上の国内企業の担当者へ行った調査(有効回答1,107件・1社1回答)がありますが、対象も設問も違うため数値は比べられません。
そのうえで同調査の分析レポートを見ると、出力の信頼性や精度、プライバシー、セキュリティへの懸念はAIの導入後も残りやすく、強化が必要な体制として最も多く挙がったのは人間による最終判断の確保と、判断の過程を説明できる体制でした。
出典: JIPDEC『「企業IT利活用動向調査2026」から見る日本企業のDX、AI活用、ランサムウェア被害の実態(AIの活用状況と課題編)』
問いは違っても最後に人が判断できる状態に関心が向く点は米国の結果と重なるため、自社でもAIの出力を最後に誰が確かめるかを先に決めておくと、導入後に残る懸念に備えやすくなります。
AIの進化が速すぎると感じたら追う情報を絞る
AIの進化が速すぎると感じた時に新しいAIをすべて追う必要があるかは、この調査からは分かりません。
そこで私たちは、いま使っているサービスと、その仕事に関係する変更だけを追う方法を提案します。
まず、社内で使っている生成AIのサービスと、それを使う仕事(メールの下書きや資料の要約など)を書き出し、各サービスの公式のお知らせで次の変更を確かめます。
料金
金額や課金の仕組み
利用上限
使える回数や量
終了予定
機能やモデルの提供終了
データの扱い
入力した情報の保存や学習
権限
誰が使えて、何を操作できるか
このうちデータの扱いは、学習・保存期間・権限を分けて読むと見落としにくく、確認の順番は社内データを読ませる前の保全ルールが参考になります。
確かめる頻度は自社の締め切りや運用に合わせて決めればよく、たとえば週1回の確認枠を予定に入れる形から始められます。
ただし、サービス終了やセキュリティに関わる通知は、定期の確認を待たずにその場で読む対象です。
そのうえで新しいAIや機能を試す時は、一例として確かめてから元に戻せる仕事を1つに絞り、次の順で進めます。
同じ入力で比べる手順はモデル更新前の品質テスト、送信や外部公開をどこで止めるかは禁止業務から決める社内ルールで具体的に確かめられます。
よくある質問
QAIの進化が速すぎると答えた64%は日本人の割合ですか?
AAIの進化が速すぎると答えた64%は、AP-NORCが2026年9月に米国の18歳以上2,140人へ行った調査の結果で、日本人の割合ではありません。日本の成人に同じ設問で尋ねた比較できる調査は、私たちが調べた範囲では見つかっていません。
QAP-NORC調査の64%はAIについていけない人の割合ですか?
AAP-NORC調査の64%は、米国内のAI技術の開発が「速すぎる」と評価した人の割合です。設問はAIを使いこなせるかを尋ねていないため、AIについていけない人の割合とは読めません。
QAP-NORCのAI調査はいつ実施され、いつ公開されましたか?
AAP-NORCのAI調査は2026年9月24〜28日に実施され、結果は2026年10月8日に公開されました。
QAP-NORC調査の81%と77%は何を示していますか?
AAP-NORC調査の81%と77%は、米国政府のAIへの取り組みで「AIを人間の制御下に置くこと」と「米国の労働者を守ること」を極めて重要または非常に重要と答えた人の割合です。規制や開発停止への賛成率を尋ねた数字ではありません。
QAIの進化についていけないと感じたら、新しいAIをすべて試すべきですか?
AAP-NORCの調査は、新しいAIをどこまで試すべきかを尋ねていません。私たちは、使っているAIサービスの変更を公式のお知らせで確かめ、試すのは元に戻せる仕事1つに絞る方法をおすすめします。
AIの進化の速さに追われないために今日決めること
AP-NORC調査の「速すぎる」64%とは、米国の成人が米国内のAI技術の開発の速さを評価した割合であり、AIを使いこなせない人の割合ではありません。
取り残されているかどうかを世論の数字で測るより、公式のお知らせを確かめる担当と、試す仕事を1つだけ今日決めておくと、今後大きな変更が届いた時も落ち着いて判断しやすくなります。