Hy4とは
Hy4とは、テンセントのHunyuan(混元)系列に属する、文章作成やコード修正などに使う大規模言語モデルです。2026年8月28日に初期版「Hy4 preview」が公開され、複数の資料から文書・表・スライドを作るなど、仕事を進める用途を重視しています。
公開版の名称:Tencent Hy4 preview
長い資料を扱う仕組み
一度に扱える文章の枠(コンテキストウィンドウ)は約100万トークン。トークンはAIが文章を細かく区切って数える単位で、100万トークンはおおよそ文庫本数冊ぶんの文章量にあたります。複数の資料を横に並べて読むような使い方を想定した大きさです。
ただし、枠のすべてを資料で埋められるわけではありません。テンセントクラウドの仕様表では、入力は最大96万トークン、1回の回答は最大6万4千トークン(2026年10月時点)。枠は、入れる資料と返ってくる回答が分け合うためです。
内部は混合エキスパート方式。AIが学習で調整する数値(パラメータ)は本体に7,700億個あり、文章の小さな単位を1つ処理するときに動くのは、そのうち490億個です。全体の約6%だけを動かして計算を抑える工夫ですが、7,700億個すべてを置いておく設備は欠かせません。
Hy3との違いは?
違いは3つ。読める量、1回に書ける量、料金です。同じ仕様表で、Hy3の枠は約25万6千トークン。Hy4 previewは約4倍に広がりました。逆に、1回の回答の上限は、Hy3の約12万8千トークンから半分に減っています。
料金は上がりました。同じ料金表(シンガポールの拠点)で、Hy3は100万トークン当たり入力約0.132ドル、出力約0.528ドル。Hy4 previewは入力で約6倍、出力で約5倍です(2026年10月時点)。長い資料を扱わない仕事なら、Hy3と比べて選ぶことになるでしょう。
テンセントは、長い開発作業、データ分析、複数の文書をまたぐ作業を改善したと説明しています。一方で、開発チームの説明書(README)は初期版の課題も挙げました。複雑な課題を必要以上に長く考え、自分の答えを確かめすぎること。AIエージェントに仕事を任せるなら、完成物の正しさと、完了までの時間を一緒に試したいところです。
どこで使えて、費用はいくら?
テンセントは、仕事用のWorkBuddyや開発用のCodeBuddyなどでの利用を案内しています。自社システムから呼び出す経路は、テンセントクラウドのTokenHubや、複数社のAIをまとめて扱うOpenRouterのAPIです。
TokenHubの料金は、シンガポールの拠点を選んだ場合、100万トークン当たり入力約0.834ドル、出力約2.501ドル(2026年10月時点・従量課金)。同じ入力を繰り返し送るときに計算結果を使い回す「プロンプトキャッシュ」が効いた部分は、約0.042ドルに下がります。上限の96万トークンを1回読ませると、入力だけで約0.8ドルという計算です。
社内の資料を入れる前に気になるのが、データの扱いでしょう。入力が学習に使われるか、何日残るかは、Hunyuanのページで説明しています。
学習済みの中身にあたるデータ(重み)も公開されており、自社の設備で動かす方法もあります。こうしたモデルの呼び名が「オープンウェイト」。Hy4 previewのライセンスは商用利用も可能なApache 2.0で、再配布するときはライセンスや著作権表示を残す条件があります。
Topic自分を動かすソフトの改善にも参加した
テンセントの発表によると、Hy4 previewは自分を動かす処理系の弱点を調べ、計算や通信の処理を繰り返し改善しました。同社の比較では、一定時間に処理できる量が基準より31.8%増加。
この数字が示すのは回答の正解率ではなく、処理できる量です。AIに直させるソフトの中に、そのAI自身を動かす基盤も入っていた、という事例です。
Hy4に関するよくある質問
- 公開されたモデルを、普通の業務用PCに入れて動かせますか?
- 動きません。テンセントの説明書が案内するvLLM(AIを動かすためのソフト)の手順は、データセンター向けのGPUを8基そろえた構成を例に挙げています。GPUはAIの計算を担う部品です。必要なGPUのメモリは、軽くした版(FP8)でも最低約924GB、軽くしない版は約1,848GB(2026年9月の版)。手軽に試すなら、アプリやAPIを使う形になります。
- OpenAIやAnthropicのAPIを使うシステムから接続できますか?
- TokenHubは、Chat Completions、Responses、Messagesという3つの接続仕様(APIへの頼み方)との互換性を案内しています。対応する形式なら既存の接続処理を活用できますが、接続先・認証情報・モデル名の変更は必要です。互換性は接続方法についての説明で、回答の品質が同じという意味ではありません。