Hunyuan(フンユアン)とは
Hunyuanとは、中国のIT大手テンセント(騰訊)が開発するAIモデル群の名前です。中国語での表記は「混元」。2023年9月7日に、まず中国の企業向けに公開されました。文章を扱う大規模言語モデルのほか、画像、動画、3Dデータ(立体物)、翻訳のモデルまでそろえています。テンセントは2025年から略称の「HY」を使いはじめ、2026年8月の発表文では「Tencent Hy(旧称Tencent Hunyuan)」と書いています。
中国語表記:混元/英語の新しい表記:Tencent Hy(略称HY)/開発元:Tencent(騰訊)
Hunyuanと「Hy」は、同じもの?
同じ系列です。呼び名はいつ切り替わったのか。テンセントの資料でたどれます。
- 2025年3月19日:決算説明の資料に、今後は「HY Foundation Model」と呼ぶ、という注記が入る
- 2025年度の年次報告書:用語の一覧に「HY=旧称Hunyuan」と載る
- 2026年8月5日:発表文に「Tencent Hy(旧称Tencent Hunyuan)」と書かれる
古い名前が消えたわけではありません。中国での呼び名は、いまも混元です。それまでに公開されたモデル(HunyuanVideoやHunyuan3Dなど)は元の名前のままで、開発者向けの公開場所(GitHub)での組織名も「Tencent-Hunyuan」。新しいモデルは、Hy3やHY-World 2.0のように「Hy」「HY」で始まります。記事や資料でどちらの名前を見ても、同じテンセントのAIと考えて差し支えありません。
文章を扱うAIは、Hy3からHy4へ
最初の公開は2023年9月7日。テンセントは深圳で開いた年次イベントで混元を披露し、中国の企業がテンセントクラウドのAPI(外部のソフトからAIを呼び出す窓口)で使えるようにしました。同じ日に、Web会議や文書作成など自社の50の製品とつないだと発表しています。ChatGPTの公開(2022年11月30日)から約9か月後のこと。その後の主な動きを並べます。
- 2026年4月23日:Hy3の試作版(Hy3 preview)を公開
- 2026年6月22日:テンセントクラウドで、旧世代の46モデルの提供を終了
- 2026年7月6日:Hy3の正式版を公開
- 2026年8月28日:Hy4の試作版(Hy4 preview)を公開。AIの中身にあたるデータ(重み)も配布
規模も大きくなりました。AIの中にある調整つまみ(パラメータ)の総数は、Hy3の2,950億から、Hy4 previewでは7,700億へ。一度に読み込める文章の量は、Hy3が最大約25万6千トークン、Hy4 previewは100万トークンを超えます。トークンは、AIが文章を区切って数える単位です。
画像、動画、3Dまで作る
文章以外のモデルも、同じ名前のもとで公開されてきました。重みを公開した時期は、それぞれのライセンス文書に書かれたとおりです。
- 画像:2024年5月にHunyuanDiT、2025年9月にHunyuanImage 3.0
- 3D:2024年11月にHunyuan3D、2025年1月に2.0、同年6月に2.1
- 動画:2024年12月にHunyuanVideo、2025年11月に1.5
- 翻訳:2025年9月にHunyuan-MT、同年12月にHY-MT1.5、2026年5月にHy-MT2
- 3D空間:2025年7月にHunyuanWorld 1.0、2026年4月にHY-World 2.0
このうち3Dは、テンセントが海外向けのサービスを用意した分野です。2025年11月26日、3Dデータを作るサービスを世界向けに始め、企業向けのAPIも中国の外へ広げました。発表文は使い道として、ゲーム開発、ネット通販の販促、映像の特殊効果、3Dプリントなどを挙げています。同じ発表によると、公開した3Dモデルのダウンロードは300万回を超え、中国本土では150社あまりがクラウド経由で導入していました。
日本の会社でも使える?
使えます。使い方は大きく3つで、条件はそれぞれ別です。
- テンセントの製品の中で使う。仕事用のAIエージェント「WorkBuddy」などで、2026年8月5日にHy3を中国の外でも使えるようにしたと発表
- APIで呼び出す。テンセントクラウドの「TokenHub」や、複数社のAIをまとめて扱うOpenRouterから
- 公開された重みを、自社のコンピュータで動かす
3つ目を選ぶなら、モデルごとのライセンス文書を開いてください。Hy3、Hy4 preview、翻訳のHy-MT2は、制限の少ないApache 2.0です。一方、画像・動画・3Dなど多くのモデルは「Tencent Hunyuan Community License」という独自の条件で、使える地域から欧州連合(EU)、英国、韓国が外されています。日本は対象に入っています。条件はこれだけではありません。HunyuanImage 3.0のライセンスから、主なものを挙げます。
- 対象の地域の外では、モデルも、モデルが作ったものも使えない
- 出力を、ほかのAIモデルの改良に使ってはいけない
- 月間の利用者が1億人を超える事業者は、テンセントから別に許諾を得る
- 軍事目的などの使い方は禁止
利用者数の線は、モデルで違います。3Dのモデル(Hunyuan3D 2.0と2.1、HY-World 2.0)では100万人。最初のHunyuan3D(2024年11月)は、研究と教育に限る非商用のライセンスでした。同じ「Hunyuan」の名前でも、モデルと版によって条件が違います。
製品やAPIで使う場合はどうでしょうか。海外向けのTokenHubの文書(2026年9月の版)は、入力したデータを学習には使わないと書いています。保存の扱いは設定で変わります。資源を置く地域にシンガポール、フランクフルト、シリコンバレーのいずれかを選び、「保存しない」機能を有効にすると、データは保存されません。有効にしなければ、処理のあと通常は最長30日残ります。政治的な意見や信仰といった機微な情報の処理は想定していない、という断りも。2026年8月の発表には、日本のMetelix社など地域の提携先と、各社のサービスを通じてHy3を使えるようにする取り組みを進めている、とあります。
Topic自前のAIを持ちながら、他社のDeepSeekも使う
Hunyuanに関するよくある質問
- 以前のHunyuanのモデル(Hunyuan-T1など)は、いまもAPIで使えますか?
- テンセントクラウドの告知によると、旧世代の46モデルは2026年6月22日に提供を終えました。個人向けの定額プランでも、Hunyuan-T1、Hunyuan-TurboS、Tencent HY 2.0の提供をやめています。以前の受付窓口は2026年9月30日に停止し、いまはTokenHubに一本化されました。GitHubなどで公開済みの重みは、この告知の対象ではありません。
- 日本語には対応していますか?
- 翻訳用のモデル(Hunyuan-MT、HY-MT1.5など)は、説明書の対応言語の一覧に日本語を載せています。HY-MT1.5は、33の言語のあいだで翻訳できるという説明です。一方、文章を扱うHy3とHy4 previewの説明書には、日本語についての記述がありません(2026年10月に確認)。
- 「混元」には、どんな意味がありますか?
- テンセントは2023年9月の記事で、混元を「万物の起源で、すべてを包み込み、限りのないもの」を表す中国語だと説明しています。新しい英語表記の「Hy」については、2026年4月の発表文に、中国では混元(Hunyuan)の名でも知られる、と書かれています。