ディープシークとは

ディープシークとは、中国のAI企業、およびその企業が開発する大規模言語モデル(LLM)です(英語表記:DeepSeek)。重みを公開するオープンウェイトのモデルを出しているのが特徴で、MetaのLlamaと同じく、誰でも入手して使えるAIの代表格の一つに数えられます。

主なモデルと歩み

ディープシークは、中国のヘッジファンド「High-Flyer(幻方)」の共同創業者が2023年に立ち上げ、同ファンドが出資している会社と報じられています(中国語の社名は「杭州深度求索人工智能基础技术研究有限公司」、略して深度求索)。2024年12月26日にDeepSeek-V3、2025年1月20日にDeepSeek-R1を公開しました。R1は、じっくり考えてから答える「推論モデル」で、開発元は論文で、数学やプログラミングなどじっくり考える課題の成績が、OpenAIのo1(2024年12月17日版)に並ぶと報告しています。その後も2026年4月24日にDeepSeek-V4のプレビュー版、9月10日にV4.1-Flashを公開。これらのモデルは、入力の一語ごとに、たくさんある専門部品のうち一部だけを動かすMixture of Experts(MoE)という効率的な仕組みを採用しています。

なぜ注目されたのか

最大の衝撃は、学習コストが格段に安いと公表した点でした。同社はV3の技術報告で、学習費用を約558万ドルと示しています。ただしこれは、GPUの借り賃を一定の単価と仮定して、本番の学習だけを計算した試算。それ以前の研究や試行錯誤にかかった費用は含まないと、報告自身が断っています。それでも「AIに莫大な投資は必ずしも要らないのでは」という見方が広がり、市場に大きな波紋を呼びました。

会社で使うとき、データはどこへ行く?

気をつけたいのは、使い方によってデータの行き先が変わる点でしょう。DeepSeek社のアプリやAPIを使う場合、同社のプライバシーポリシーは集めた情報を中国にあるサーバーに保存すると定めています。個人情報保護委員会も2025年2月3日、保存先が中国であり、中国の法令が適用される点に留意するよう情報提供を出しました。一方、公開された重みを自社のサーバーで動かすなら、入力したデータが同社のサーバーを通ることはありません。データを外に出したくない用途で評価されているのは、こちらの使い方です。

Topic「DeepSeekショック」とは何だったか

2025年1月20日にDeepSeekがR1を公開すると、1週間後の27日(米国時間)に世界の株式市場が反応しました。AI向け半導体で最大手のエヌビディアの株価が、終値で約17%下落したのです。時価総額にして6,000億ドル近くが1日で失われ、米国企業として過去最大の下げ幅と報じられました。のちに「DeepSeekショック」と呼ばれる出来事です。「AIは大金をかけないと作れない」という常識が、一社のオープンなモデルで揺らいだ瞬間でした。

ディープシークに関するよくある質問

DeepSeekのアプリに入力した内容は、AIの学習に使われますか?
使われることがあります。同社の日本語版プライバシーポリシー(2026年2月10日更新)は、サービスの改善や機械学習モデルの訓練に利用者の情報を使うとしており、その利用を拒否する権利も記載しています。社外秘の資料を扱うなら、入力前に社内の利用ルールと照らし合わせておきたいところです。
R1は、どうやって「考えてから答える」力を身につけたのですか?
論文によると、人が用意した解き方の手本に頼らず、強化学習(正解すると報酬を与えて学ばせる方法)を中心に鍛えたところ、自分の答えを見直したり検算したりする振る舞いが自然に現れたといいます。R1は、その前段階のR1-Zeroで出た読みにくさや言語の混在を、少量の手本データを先に学ばせることで改善したモデルです。
ディープシークのモデルは、どこで入手できますか?
重みはAI開発者向けの共有サイトHugging Faceの公式アカウント(deepseek-ai)で公開されています。たとえばDeepSeek-R1は、商用利用や改変を広く認めるMITライセンスです。ただしモデルごとに条件が違うことがあるため、使う版ごとのライセンスの確認は欠かせません。

ディープシークに関連する記事