ISO/IEC DIS 42102とは
ISO/IEC DIS 42102とは、AIシステムの方法と能力を共通の観点で説明する枠組みの国際規格案です。供給者、開発者、導入企業などの異なる立場が、AIについて同じ言葉で話すことを目指します。DISは発行済みの国際規格ではなく、投票にかけられる段階の案です。

正式名称:Information technology — Artificial intelligence — Framework for characterizing AI system methods and capabilities
策定委員会:ISO/IEC JTC 1/SC 42
何を揃えて説明する?
公開されている要約では、AIシステムがどのような方法を使い、どのような能力を持つかを、一貫した記述子で表す枠組みと説明されています。記述子とは、製品やシステムの性質を同じ形で書くための項目です。規格案の序文によると、ここでいう方法は手順やアルゴリズム、能力はできることや機能のこと。両者を縦横に並べた表(マトリクス)で、1つのシステムが持つ方法と能力の組を整理します。
序文は狙いを、AIシステムを説明する標準的なやり方を作って共通の理解を持てるようにし、価値とリスクをよりよく評価できるようにすること、と述べています。一つの点数でAIを順位付けしたり、合否を判定したりする基準ではなく、説明をそろえるための枠組みです。
2026年9月時点ではどの段階?
ISOの案件ページでは、2026年4月13日にDIS登録、6月15日に投票開始、9月8日に投票終了と記録されています。9月15日に確認したステージは40.60「投票終了」です。
投票期間が終わったことと、投票で承認されたこと、国際規格として発行されたことは同じではありません。ISO公式ページに投票結果や発行確定が表示されるまでは、「策定中の国際規格案」として扱います。ISOのステージ表では、投票結果の報告の後、最終案(FDIS)へ進む、DIS投票をやり直す、担当委員会へ差し戻す、のいずれか。
共通記述で何が変わる?
記述がそろうと、受け取った側は何を読み取れるのでしょうか。序文が例に挙げるのは、そのシステムがどんな用途に向くか、どういう手順で作られたか、変更するには何が必要か、動きのどこが人にとって予想しにくいか、の4つです。
さらに、複雑なシステムを「方法と能力の組」に分けて見ることで、適合性評価(決められた基準を満たすかの確認)や、トラブル発生時の対応の進め方をつかみやすくなる、とも書かれています。供給者に説明を求めるときに「何ができるか」と「どの方法で実現しているか」を分けて聞くのは、発行を待たずに取り入れられる考え方でしょう。
ただし、記述が揃っても、能力の品質や自社業務への適合が自動で保証されるわけではありません。説明項目の共通化と、評価結果の保証は別の仕事です。テストデータ、運用条件、リスク評価は自社で準備します。
企業はどう備える?
この段階でできることは、AIシステムの仕様書、調達条件、モデルカードなどに、能力と方法の説明欄があるかを棚卸しすることです。公開要約からは最終的な記述項目まで確定できないため、社内の確定テンプレートに断定的に取り込みません。
ISOの規格は、原則として任意で使うもの。ただし調達契約や法令が規格名を参照すると、その文書を通じて実務上の義務になることがあります。社内文書で引用するなら、文書番号だけでなく、版、発行状態、参照した日付を一組で記録しておくと安全でしょう。
Topicこの規格案の「AI」は機械学習だけではない
ISO/IEC DIS 42102に関するよくある質問
- AIシステムの「方法」と「能力」はどう分ければよいですか?
- 実務上は、能力を「何ができるか」、方法を「それをどのように実現するか」と分けると整理しやすくなります。ただし、正式な記述項目は策定中の規格案の最新版で確認してください。
- 規格案の状態はどこで確認できますか?
- ISOのISO/IEC DIS 42102案件ページで、現在のステージ番号、主な日付、担当委員会を確認できます。社内資料に状態を書く場合は、ステージだけでなく確認日も並べてください。
- 企業は今すぐ社内ルールに取り込むべきですか?
- 確定規格として転記する段階ではありません。現在は、自社の仕様書や調達条件に能力と方法を分けて説明する欄があるかを棚卸しし、正式発行時に差分を確認できる状態を作ります。