ISO/IEC 22989とは
ISO/IEC 22989とは、人工知能(AI)に関する概念と用語の意味を、国際的にそろえるために定められた標準(規格)です。「AIシステムとは何か」「機械学習とは」といった基本的な言葉に共通の定義を与え、AIにかかわる他の規格が同じ言葉で語れるようにする”土台”の役割を担います。
正式名称:JIS X 22989:2023(情報技術-人工知能-人工知能の概念及び用語)
英語表記:ISO/IEC 22989:2022 Information technology – Artificial intelligence – Artificial intelligence concepts and terminology
AIの言葉をそろえる「共通辞書」
この規格が定めるのは、AIの分野で使う言葉の共通の意味です。AIシステム、機械学習、モデル、データセット、AIシステムが作られて使われるまでの流れ(ライフサイクル)、それにかかわる関係者(ステークホルダー)といった基本概念を整理しています。透明性・説明可能性・公平性・安全性など、AIに求められる「性質」を表す言葉もここに含まれます。
言葉の意味が人によってばらつくと、社内の議論も取引先との契約も噛み合いません。ISO/IEC 22989は、その「AIの言葉」を世界共通でそろえる辞書のような存在です。なお規格本体は2022年に発行され、生成AIに関する用語を追加する改訂が2025年時点で審議されています。
認証を取る規格ではない
混同しやすいのが、認証を取得する規格との違いです。ISO/IEC 22989は用語・概念を定義する規格で、組織が第三者認証を取る対象ではありません。認証を取るなら、AIを適切に管理するしくみを定めたISO/IEC 42001が対象になります。リスク管理の進め方を示すのはISO/IEC 23894です。
これらはいずれも、AIを専門に扱う同じ国際委員会が手がけるAI標準群の一部です。22989はその土台にあたり、各規格が同じ言葉で書けるようにする役割を担います。国際標準は法律ではなく任意で採り入れるものなので、「準拠=法的義務を果たした」という意味ではない点にも注意が要ります。
TopicAIの言葉を決める委員会は2017年に生まれた
ISO/IEC 22989をまとめたのは、AIを専門に扱う国際委員会ISO/IEC JTC 1/SC 42です。2017年に発足した、AI全体を対象とする初の国際標準委員会とされ、2023年にはISOが優れた委員会に贈るローレンス・D・アイカー賞を受けています。私たちが普段ばらばらに使っている「AI」「学習」といった言葉に、世界共通のものさしを用意しようという動きは、生成AIブームが起きる前から静かに進んでいました。
ISO/IEC 22989に関するよくある質問
- ISO/IEC 22989とISO/IEC 42001は何が違いますか?
- ISO/IEC 22989はAIの用語と概念を定義する「言葉の土台」の規格で、認証を取る対象ではありません。ISO/IEC 42001はAIを適切に管理するしくみ(マネジメントシステム)の規格で、組織が第三者認証を取得できます。
- 認証や法的義務はありますか?
- ありません。用語・概念をそろえる定義規格のため、認証取得の対象ではなく、採用も任意です。国際標準なので守ることが法律で義務づけられているわけでもありません。
- 日本語版はありますか?
- あります。ISO/IEC 22989:2022は、内容を変えずに翻訳採用したJIS X 22989:2023として日本産業規格になっています(2023年8月制定)。