Executive Order 14179とは
Executive Order 14179とは、アメリカのトランプ大統領が2025年に署名した、AI分野で米国の主導権を保つことを目指す大統領令のことです。前政権が定めたAIの安全規制(Executive Order 14110)を撤回し、規制の障壁を取り除いて開発を後押しする方針へと、大きく舵を切りました。
正式名称:大統領令第14179号「AIにおける米国のリーダーシップへの障壁の除去」
英語表記:Executive Order 14179 (Removing Barriers to American Leadership in Artificial Intelligence)
何を目指したのか
署名は2025年1月23日。掲げられたのは、米国がAIで世界の主導権を握り続けることです。そのためにAI開発を妨げる過度な規制を見直し、取り除く方針を打ち出しました。具体的には、180日以内に国全体のAI行動計画(America’s AI Action Plan)をまとめること、政府の予算管理を担う部局の指針を改めること、前政権の大統領令にもとづく施策を速やかに見直すことなどを、各機関に指示しています。
前の大統領令との対比
性格は、撤回したExecutive Order 14110とほぼ正反対です。14110が「安全のための報告や基準づくり」を重んじたのに対し、14179は「開発の自由と速さ」を優先します。同じAIをめぐっても、政権が変われば方針は大きく振れる。大統領令という仕組みの特徴が、ここにもはっきり表れているといえるでしょう。
経営者が知っておきたい視点
この方針転換は、日本の経営者にとっても無関係ではありません。米国がAI規制を緩める方向に動けば、世界のAI開発の勢いや競争のルールが変わりうるからです。実際、この大統領令の指示を受けて、2025年7月には具体的な計画(America’s AI Action Plan)がまとめられました。米国のAI政策がどこへ向かうのか。引き続き目を配っておきたいテーマです。
Topic大統領令が名指しした「思想的な偏り」
この大統領令で目を引くのは、その文言です。AIを「思想的な偏りや、仕組まれた社会的な意図」から自由に保つ、と明記されました。技術の開発方針を定める政府文書が、AIの「中立性」にまで踏み込んだ点は珍しく、その後のAIをめぐる議論の論点の一つにもなっています。規制の量だけでなく、AIが何を語るかにまで関心が向けられた表れといえます。
Executive Order 14179に関するよくある質問
- Executive Order 14179は今も有効ですか?
- 2026年6月時点では、米国のAI政策の方針として有効に残っています。これにもとづく施策や計画づくりが進められてきました。
- この大統領令で、AIの新しい規制が増えましたか?
- いいえ。むしろ開発を妨げる規制を取り除く方向の内容です。安全のための新たな義務を企業に課すものではありません。
- 「14179」とは何の番号ですか?
- 歴代の大統領令に順に振られる通し番号です。法律の名前ではなく、どの大統領令かを見分けるための番号です。