WSEとは

WSEとは、米国の半導体企業Cerebras(セレブラス)が開発した、シリコンウェハー(半導体の円盤)を小さく切り分けず、丸ごと1枚をそのまま1つのチップとして使う、世界最大級のAI用プロセッサです。プロセッサとはAIの計算を担う中核部品のこと。ふつうの半導体が爪ほどの大きさなのに対し、WSEは皿のように大きな1枚がまるごと1チップという、常識を外した設計になっています。

英語表記:Wafer Scale Engine(Cerebras)

ふつうのチップと何が違うのか

半導体は通常、大きなウェハーから数百個の小さなチップを切り出してつくります。WSEはこれをあえて切らず、1枚まるごとを1つの巨大チップに仕立てました。最新世代のWSE-3には、約4兆個のトランジスタと約90万個のAI向け演算コアが1枚に載っています。Cerebrasは、これがNVIDIAの高性能GPU「B200」と比べてトランジスタ約19倍、演算性能約28倍に達すると説明しています。あくまで同社の公称値ですが、桁違いの規模だと分かるでしょう。

巨大な1枚にする狙い

なぜわざわざ巨大な1枚にするのか。理由は速さにあります。たくさんのチップを束ねる方式では、チップとチップの間でデータをやり取りする時間がどうしても生まれます。WSEは全部が1枚の中にあるため、その「またぎ」のロスが起きにくいのが強みでしょう。経営の視点で言えば、巨大なAIの学習を比較的シンプルな1台の装置で回せること。NVIDIAのGPUを大量に並べるのとは別の道で、AIの計算力を確保しようとする発想が、WSEの面白さといえます。

Topic「欠陥を避ける」常識をひっくり返した

半導体づくりの常識は、ウェハーから小さなチップを切り出し、欠陥のある部分は捨てるというもの。1枚まるごと使えば、どこかに必ず不良が出るため不可能とされてきました。Cerebrasはこの発想を逆転させ、欠陥を避けるのではなく「欠陥があっても全体は動くように耐える」設計で巨大1チップを実用化したのです。常識の壁を回り込んだ一手といえるでしょう。

WSEに関するよくある質問

WSEは誰が使うのですか?
巨大なAIモデルの学習や大規模な科学計算を行う企業・研究機関が中心です。チップ単体を買うだけでなく、Cerebrasがクラウド経由でWSEの計算力を提供する形でも利用できます。
WSEは学習だけでなく推論にも使えますか?
Cerebrasは学習と推論の両方に対応すると説明しています。とくに大規模なモデルを1台のシンプルな装置で扱える点を強みにしています。

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