AIアクセラレータとは

AIアクセラレータとは、AI(人工知能)の計算を専門に高速化するために設計された、専用ハードウェアの総称です。画像処理用のGPU、グーグルが開発したTPU、スマホやパソコンに載るNPUなど形はさまざまですが、いずれもAIの計算を速く・省電力でこなすという一点で共通します。

なぜAI専用のチップが必要なのか

パソコンの頭脳であるCPUは、何でも順番にこなせる万能選手です。ところがAIの処理は、よく似た計算(膨大なかけ算と足し算)を一度に大量にこなす必要があり、順番に片づける万能型では時間も電力もかかりすぎます。そこで、同じ計算をいっせいに並べて処理する(並列処理)ことに振り切ったチップが生まれました。料理にたとえるなら、CPUが何でも作れる一人のシェフ、AIアクセラレータは同じ下ごしらえを大人数で一気に片づける専門チームのようなものでしょう。

GPU、TPU、NPU…種類はさまざま

AIアクセラレータは一つの製品名ではなく、複数の種類をまとめた呼び名です。代表格は、もともと映像やゲームの描画用に生まれ、並列計算を得意とするGPU。ほかにも、グーグルが自社開発したTPU、スマホやパソコンで省電力に動くNPU、特定の用途に絞って設計するASICやFPGAなどがあります。GPU、TPU、NPU、ASIC、FPGAと顔ぶれは多彩で、得意分野はそれぞれ違っても、すべてAIアクセラレータの仲間です。GPUが広く使われてはいるものの、それだけが正解とは限りません。

コストと速度を左右する縁の下の力持ち

経営の視点で見落とせないのは、AIを動かす速さとコストが「どの計算装置で動かすか」で大きく変わる点です。普段使うクラウド上のAIも、その裏では必ずこうした専用ハードが働いています。AIの利用料を高いと感じるなら、その一因は計算装置のコストにあるのかもしれません。GPU一択と思い込まず、用途に合う選択肢があると知っておくこと。それが、AI調達の費用を見直す出発点になります。

TopicGPUがAIの主役になった2012年の出来事

いまAIの計算をGPUが担うのは当たり前に見えますが、その流れを決めたのは2012年でした。トロント大学の研究チームが、市販のNVIDIA製GPU2枚で画像認識AI「AlexNet」を学習させ、世界的なコンペで2位に10ポイント以上もの大差をつけて優勝したのです。これはChatGPTの一般公開(2022年)より10年も前の話。この一勝が「AIは専用ハードで動かすと劇的に速くなる」と世界に示し、各社が競って専用チップを開発する時代の号砲となりました。

AIアクセラレータに関するよくある質問

CPUだけではAIは動かせないのですか?
動かせますが、多くのAI処理はCPUだけだと時間も電力もかかります。小規模なお試しは一般的なパソコンでもできますが、本格的な学習や大量の利用にはAIアクセラレータが使われます。
自分の会社にも関係がありますか?
直接購入しなくても影響します。社外のAIサービスを使う場合でも、その応答の速さや料金は、提供側で動く計算装置の能力とコストに左右されるためです。
種類が多くて、どれを選べばよいか分かりません。
用途で変わります。大規模な学習はGPUやAWSのTrainium、常時たくさん動かす推論はInferentiaやNPU、手元の端末で動かす軽い処理はNPUが向きます。クラウド利用なら提供側が選ぶため、利用者は速さと料金で比べれば十分です。

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