Azure(アジュール)とは

Azureとは、マイクロソフトが提供するクラウドサービスです。自社でサーバーを持たなくても、必要なコンピューターの力やデータの保管場所を、インターネット越しに借りて使えます。企業のシステムを動かす土台として2010年から続くサービスで、いまはOpenAIのGPTシリーズやAnthropicのClaudeといった他社のAIを、企業向けに動かす基盤としても使われています。

正式名称:Microsoft Azure(2014年4月まではWindows Azure)

Azureは、いつから何をしてきた?

商用サービスが始まったのは2010年2月1日。21カ国で、稼働を保証する契約(SLA)付きの本番利用を受け付けました。ChatGPTの一般公開(2022年11月)より12年以上前から、企業のITを支えてきた基盤です。当初の名前は「Windows Azure」でしたが、2014年4月に今の名前へ改めています。このときマイクロソフトは、WindowsだけでなくLinuxやPython、Javaなど幅広い環境を動かせることを強調しました。

OpenAIとの関係は、どう変わってきた?

Azureが経営の話題にのぼる最大の理由は、ChatGPTを生んだOpenAIとの関係です。マイクロソフトはOpenAIの大株主で、2023年1月には、OpenAIのモデルを企業がAzureの契約の中で使える「Azure OpenAI Service」の一般提供を始めました。現在はさまざまな会社のAIをまとめて扱う「Microsoft Foundry」(旧Azure AI Foundry)の一部になり、「Azure OpenAI in Microsoft Foundry Models」と呼ばれています。

両社の取り決めは、この1年で大きく動きました。2025年10月の時点では、OpenAIのモデルをAPIで提供するクラウドはAGIが実現するまでAzureだけ、と決めていました。ところが半年後の2026年4月27日の見直しで、OpenAIは自社のすべての製品を、どのクラウド事業者を通じても顧客に届けられるように。翌日にはAWSが、OpenAIのモデルをAmazon Bedrockで使えるようにすると発表し、6月に一般提供へ進みました。「OpenAIのモデルを会社で使うならAzure」という図式は、もう成り立ちません。ただし、マイクロソフトは今も主要なクラウドの提携相手で、OpenAIの新製品は原則としてまずAzureで出る取り決めです。

逆向きの動きもあります。2025年11月、マイクロソフトはAnthropicのClaudeをMicrosoft Foundryで使えるようにすると発表し、AnthropicはAzureの計算資源を約300億ドル分購入すると約束しました(2025年11月時点の発表)。OpenAIの競合のモデルも、同じ窓口から選べるわけです。

日本の会社が使うとき、何を確かめればいい?

まず気になるのは、入力したデータの行き先でしょう。マイクロソフトの公式文書は、Azure上のAIに入れた指示文や回答、学習用のデータについて、OpenAIなどモデルの開発元には渡さず、開発元がモデルの改良に使うこともないと明記しています(2026年5月時点)。ChatGPTやOpenAIのAPIとはやり取りしない、とも書かれています。ただし、処理する場所を契約した国・地域に限れるのは標準の使い方の場合です。「Global」と名の付く提供形態を選ぶと、そのモデルが置かれた世界中のどの地域でも処理されうる、と同じ文書にあります。

国内の設備も広がっています。マイクロソフトは2026年4月3日、2026年から2029年にかけて日本に約100億ドル(約1.6兆円)を投資すると発表しました。その柱の一つが、さくらインターネットやソフトバンクと組み、国内事業者のGPUをデータを日本に置いたままAzure経由で提供する計画です。ロボットや精密な製造業のAI、日本発の大規模言語モデルの開発のように、データを国内にとどめたい用途を想定しています。

Topic引退を考えていたWindowsの設計者が、土台を書いた

Azureの開発名は「Project Red Dog(レッドドッグ)」。マイクロソフト自身の記事によると、2006年ごろ、クラウド用の基本ソフト(OS)が必要だと考えた幹部のアミタブ・スリバスタバ氏が最初に口説きに行ったのが、1993年以降のWindowsの土台となったWindows NTの開発で中心を担ったデビッド・カトラー氏でした。「そろそろ引退しようと思っている」と答えたカトラー氏に、スリバスタバ氏は「これは違う。世界を変えるかもしれない」と食い下がります。カトラー氏は、1台のサーバーを何台分もの仮想のコンピューターに分けて動かす心臓部を書き上げました。2008年の発表の舞台で、カトラー氏がデザインしたRed Dogのスニーカーを履いたスリバスタバ氏はこう語っています。「OSの中核はデモ映えしない。でも良いものがあれば、ほかの人が大ヒットするアプリを作れる」。

Azureに関するよくある質問

AzureとMicrosoft 365は、何が違いますか?
Microsoft 365(旧Office 365)は、WordやExcel、Teamsのような完成したアプリをそのまま使うサービスです。Azureは、自社のシステムやAIを組み立てて動かすための土台を借りるサービス。2014年の改称の発表でマイクロソフトは、Azureを顧客向けの基盤であると同時に、Office 365やBing、Xbox Liveといった自社サービスの基盤とも位置づけていました。
Azureを契約すれば、社内でChatGPTが使えるようになりますか?
ChatGPTそのもの(OpenAIが運営するアプリ)が使えるようになるわけではありません。Azureで使えるのはOpenAIなどのAIモデルで、自社のアプリや業務システムに組み込んで使う形です。すぐに使えるチャット画面が欲しい場合は、ChatGPTの法人向けプランやMicrosoft 365 Copilotといった別の製品を選ぶことになります。
無料で試せますか?
はい。新しく使い始める人向けの無料アカウントでは、30日以内に使える200米ドル分のクレジットが付き、20以上の人気サービスは12か月間、65以上のサービスは期間を問わず、毎月決まった量まで無料で使えます(2026年9月時点)。無料アカウントのあいだはクレジットカードに課金されず、30日を過ぎたりクレジットを使い切ったりした後も続けるなら、使った分だけ払う従量課金へ切り替えます。

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