音声合成とは
音声合成とは、文字で書かれた文章を、人間が話すような音声に変換する技術です。英語の頭文字からTTS(Text-To-Speech、テキスト読み上げ)とも呼ばれます。
声を「つなぐ」方式から「学んで作る」方式へ
どうやって声を作っているのでしょうか。長く使われてきたのは、あらかじめ録音した声の断片をつなぎ合わせる方式と、声の特徴を数値で予測してから音に変える方式でした。
流れを変えたのが、2016年9月にGoogle DeepMindが発表したWaveNetです。1秒あたり数万個に及ぶ音の値を、深層学習で1つずつ順に作り出す方式で、聞き手に自然さを比べてもらう試験では従来の2つの方式を上回っています。
2017年12月にGoogleの研究者らが発表したTacotron 2は、自然さを1〜5点で採点する試験で平均4.53点。プロが録音した音声の4.58点と、ほぼ並ぶ水準に達しています。
人と聞き分けにくい声でも、何を確かめるべきか
4.53点と4.58点の差は、わずか0.05点。ところが同じ論文で本物の録音と1対1で聞き比べてもらうと、わずかながら本物の録音のほうが好まれました。評価者のコメントによれば、主な理由は時々起きる読み間違いだったとのこと。
別に用意した100文の試験でも、読み間違いを含む文が6文、強調する位置や声の高さが不自然な文が23文ありました。英語での評価ですが、読み間違いと抑揚の不自然さは、公開前に人の耳で確かめたい点といえるでしょう。
身の回りにあふれる読み上げの技術
音声合成は、すでに暮らしのあちこちで動いています。カーナビの案内、スマートスピーカーの応答、視覚に障がいのある人向けの読み上げなどが身近な例でしょう。ビジネスでは研修動画のナレーションや問い合わせ対応の自動音声に使われ、ElevenLabsのような専門サービスも登場しています。
TopicGoogleの音声合成の論文には「タコスが大好き」という注がある
2017年3月にGoogleの研究者らが公開した「Tacotron」は、文字の並びから直接、音声を合成する方式を示した論文で、Tacotron 2の前身にあたります。ところが著者欄をよく見ると、名前には2種類の記号。脚注をたどると、「この著者たちはタコスが大好き」「この著者たちはお寿司のほうがいい」と書かれています。名前に入った「Taco」との関係は、論文のどこにも説明がありません。
音声合成に関するよくある質問
- 音声合成とボイスクローンは何が違いますか?
- 音声合成は文章を話し声に変える技術全般を指します。ボイスクローンはそのうち、特定の人の声をまねて再現する使い方を指す、より狭い言葉です。
- 1つのAIで、何人分もの声を出し分けられますか?
- できます。2016年に発表されたWaveNetの論文は、1つのモデルで多くの話者の声の特徴を同じ忠実さでとらえ、話者を指定して切り替えられると報告しています。便利な反面、特定の人の声をまねる使い方にもつながるため、声の持ち主の同意をどう取るかが論点になります。