知識労働の自動化とは

知識労働の自動化とは、調査・分析・文書作成といったホワイトカラーの知的な業務を、ソフトウェアやAIで自動化・代行することです。工場の自動化や定型事務の効率化にとどまらず、これまで人の判断が要るとされてきた業務まで、自動化の対象が広がってきました。

何が自動化の対象になるのか

ここでいう知識労働とは、決まった手順をなぞるだけでは片づかない、調べる・考える・まとめるといった頭を使う仕事を指します。従来こうした業務は人手に頼るしかありませんでした。しかし、文章を読み取って要約する、データから傾向を読むといった作業を、AIがある程度こなせるようになってきています。人手が前提だった知的業務に、機械の手が届きはじめたのが、この言葉の核にある変化です。

RPAとの違い

よく似た言葉にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)があります。RPAは、データの転記や帳票の処理など、あらかじめ決められた手順どおりの定型作業を自動化する技術。これに対し知識労働の自動化は、手順が決まっていない、判断を伴う業務まで踏み込む点でRPAより広い概念です。RPAが「決められた作業の自動化」なら、知識労働の自動化は「考える仕事の自動化」に踏み込む、という関係でとらえると分かりやすいでしょう。

経営から見た意味

経営にとっての意味は、自動化の対象が人件費の大きいホワイトカラー業務にまで広がるところにあります。うまく使えば、調査や資料づくりの時間を大きく減らせるでしょう。一方で、影響を受ける従業員の数も多いため、人の再配置やスキルの学び直し(リスキリング)を計画的に進める必要が出てきます。「仕事を奪う技術」と身構えるより、人がより価値の高い判断に集中するための地ならし、ととらえる視点も役立ちます。

Topic生成AIの9年前に名指しされていた

「知識労働の自動化」は、生成AIブームで急に出てきた言葉ではありません。コンサルティング会社マッキンゼーは、2013年のレポートで、暮らしや経済を変える主要な技術のひとつとして、この「知識労働の自動化」を挙げていました。ChatGPTの一般公開(2022年)より、9年ほど前のことです。生成AIが影も形もなかった時代に、判断を伴うホワイトカラー業務の自動化を見通していた点は、振り返るとなかなか先見的に映ります。

知識労働の自動化に関するよくある質問

知識労働の自動化が進むと、ホワイトカラーの仕事はなくなりますか?
多くは消滅ではなく、内容の組み替えが起きると見られています。定型の部分を機械に任せ、人は判断や調整に集中する形へ移るため、再配置やスキルの学び直しが課題になります。
中小企業でも知識労働の自動化に取り組めますか?
取り組めます。まず時間のかかる調査や文書作成など一部の業務から試し、効果を見て広げるのが現実的です。最初から全社一斉に置き換える必要はありません。
知識労働の自動化は、AIに任せれば完全に無人化できますか?
現状は人の確認や判断とセットで使う場面が多く、丸ごと無人化できるとは限りません。AIの出力を人がチェックし、責任を持つ運用が現実的です。

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