Serious Incident (AI Act)とは

Serious Incident (AI Act)とは、EU AI法高リスクAIシステムが重大な被害や広範な侵害につながった場合に、提供者が当局へ報告すべき重大事象です。2026年6月時点のArticle 73では、市場に出された高リスクAIで重大インシデントが起きた場合、発生国の市場監視当局へ報告する義務が定められています。

英語表記:serious incident

単なる不具合とは扱いが違う

通常のバグや一時的な誤回答は、必ずしもSerious Incident (AI Act)ではありません。問題は、AIの利用が人の安全、健康、基本的権利、重要な業務に深刻な影響を与えるレベルかどうか。

経営判断では、技術部門だけの障害票に閉じない点が重要です。法務、リスク管理、事業責任者、ベンダーが同じ基準で「報告すべき重大事象か」を判断できる体制が必要になります。

監視体制とセットで考える

Serious Incident (AI Act)は、Post-Market Monitoring System (AI Act)と切り離せません。市場投入後の監視で異常や苦情を拾えなければ、重大事象を早く見つけることも難しくなるでしょう。

また、報告するかどうかの判断には、AIシステムと被害の因果関係、またはその合理的な可能性が関わります。現場のメモだけでなく、ログ、利用条件、判断履歴を残しておくことが、後の説明責任に効く材料です。

契約で確認したい観点

導入企業は、重大事象が起きた時に誰が最初に気づき、誰がベンダーへ通知し、誰が当局報告を判断するかを契約や運用手順で確認しておくべきです。事故後に責任分界を探す状態は、報告遅れの原因になりかねません。

AIの導入審査では、性能や価格だけでなく、インシデント連絡先、初動期限、ログ提供、原因調査への協力範囲を見ます。これはAIガバナンスの実務で、見落とすと本番運用のリスクが大きくなるでしょう。

Topic報告期限は一律ではない

EU AI法第73条は、重大インシデントの報告を原則15日以内としつつ、広範な侵害に関わるものは2日以内、死亡に関わるものは10日以内という別枠も置いています。実務では「あとで整理する」ではなく、早期分類が重要です。

Serious Incident (AI Act)に関するよくある質問

AIの誤回答はすべて重大インシデントですか?
いいえ。通常の誤回答や軽微な不具合まで一律に重大インシデントとは扱いません。人の安全、権利、重要な業務に深刻な影響があるかを確認します。
導入企業は何を準備すべきですか?
被害や苦情を受けた時の社内連絡先、ベンダーへの通知方法、ログの保全、当局報告の判断者を決めておくことです。初動の迷いを減らす準備が重要です。

あわせて読みたい記事