Post-Market Monitoring System (AI Act)とは

Post-Market Monitoring System (AI Act)とは、EU AI法高リスクAIシステムの提供者に求められる、市場投入後の性能や問題を継続的に集めて見直す仕組みです。2026年6月時点の公式条文では、AIを出した後もデータを集め、文書化し、分析して、要件を満たし続けているかを確認する考え方として扱われます。

英語表記:post-market monitoring system

公開後の「見守り」を制度にする

AIは、本番環境で初めて見える問題があります。利用者の入力、業務の例外、他システムとの組み合わせ、季節変動などが重なると、テスト時には見えなかった誤りや偏りが出るからです。

この用語は、そうした変化を偶然のクレーム対応で拾うのではなく、集める情報、確認する責任者、改善につなげる流れをあらかじめ決める発想です。AI導入を「納品で終わり」にしないための運用管理、と考えると分かりやすいでしょう。

リスク管理や重大インシデントとの関係

Post-Market Monitoring System (AI Act)は、Risk Management System (AI Act)の後工程ではなく、リスク管理に情報を戻すための入口です。市場投入後のデータから新しいリスクを見つければ、設計や手順を見直す材料になるでしょう。

Serious Incident (AI Act)ともつながる領域です。重大な事故が起きた時だけ慌てて調べるのではなく、日常的な異常、苦情、性能低下を記録しておくことで、報告判断や再発防止がしやすくなります。

経営側が確認すべきこと

導入企業は、ベンダーに「監視していますか」と聞くだけでは不十分です。どのログを残すか、誰が異常を見つけるか、利用部門からのフィードバックをどう戻すかまで確認する必要があります。ここが契約確認の急所。

特に採用、金融、教育、医療周辺のように人の機会や安全に関わるAIでは、公開後の観察が契約や運用設計の一部になります。モデルの性能表だけでなく、運用中に悪化を見つける仕組みがあるかを見るのが実務上のポイントです。

Topic市場に出した後こそ情報が増える

EU AI法第72条は、市場投入後の監視を「lifetime」、つまりAIシステムの寿命全体にわたる活動として扱います。これは、公開前の審査だけで安全を語るのではなく、実際の利用から戻ってくる情報を次の改善材料にする発想です。

Post-Market Monitoring System (AI Act)に関するよくある質問

導入企業にも関係がありますか?
はい。義務の中心は提供者側でも、現場の使い方や苦情は導入企業側で発生します。ベンダーに任せきりにせず、異常を共有する窓口と判断手順を決めておく必要があります。
ログを残せば十分ですか?
ログは材料にすぎません。誰が読み、どの基準で異常と判断し、改善や停止につなげるかまで決めて初めて監視システムとして機能します。

あわせて読みたい記事