AI原則(えーあいげんそく)とは

AI原則とは、企業や組織、政府が「AIをどう開発し、どう使うか」について掲げる基本的な価値観や行動指針を、文章にまとめたもののことです。公平性・透明性・説明責任・安全性・プライバシーといった守るべき考え方を宣言し、社内外に「私たちはこの方針でAIに向き合う」と示す役割を持ちます。

どんなものがあるか

有名な例が、Googleが2018年に公表したAI原則や、Microsoftの6つの責任あるAI原則です。国や国際機関のレベルでも、OECD AI原則や日本の人間中心のAI社会原則などがあります。中身を見ると、「人を不当に差別しない」「判断の理由を説明できるようにする」「人間が最終的な責任を持つ」といった項目が、組織を問わず共通して並びます。AI倫理という大きな考え方を、各組織が自分たちの言葉で具体的な方針へ落とし込んだもの、と捉えると分かりやすいでしょう。

憲法AIとの違い

注意したいのが、名前の似た憲法AIとの取り違えです。AI原則は、組織が「何を大事にするか」を宣言した方針文書。これに対し憲法AIは、決めた原則に沿ってAIが自分の答えを直していく、Anthropic訓練の技術(手法)です。同じ「原則」という言葉を使っていても、片方は人間が掲げる宣言、もう片方はAIを鍛える仕組みで、まったくの別物。AI原則は理念を言葉にしたもの、憲法AIはその理念をモデルに教え込む手段と整理しておけば混乱しません。掲げた原則を実際の運用へ落とし込む活動は、責任あるAIと呼ばれます。

TopicGoogleのAI原則は、社員の反発から生まれた

いまでは当たり前のように語られる企業のAI原則ですが、その代表格であるGoogleのものには、生々しいきっかけがありました。ChatGPTが広まる前の2018年、Googleが米国防総省のプロジェクトに加わり、ドローンの映像をAIで解析する仕事を引き受けたことが発覚します。これに数千人の社員が「自分たちの技術を兵器に使わないでほしい」と抗議し、署名や退職にまで発展しました。会社はこの契約を更新しないと決め、同じ時期に7つのAI原則を公表します。立派な理念は、現場の良心がぶつかり合った末に形になったのです。

AI原則に関するよくある質問

AI原則は法律のように守る義務がありますか?
多くは企業や組織が自主的に掲げる方針で、法的な強制力はありません。ただし対外的な約束でもあるため、守らなければ信頼を損なうことにつながります。
AI原則を掲げれば安全なAIになりますか?
原則は理念の宣言であって、それだけで安全が保証されるわけではありません。掲げた方針を実際の開発や運用に落とし込む活動が伴って初めて意味を持ち、これは責任あるAIと呼ばれます。

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