人間中心のAI社会原則とは
人間中心のAI社会原則とは、内閣府が2019年3月にまとめた、AIを使う社会の側が大切にすべき基本的な考え方を示した原則のことです。AIに人間が振り回されるのではなく、人間がAIをよりよく使いこなす社会を目指す、いわば国としての土台づくりにあたります。ChatGPTが世に広まるより前から、日本が国としてAIとの向き合い方を整理していたものです。
英語表記:Social Principles of Human-Centric AI
土台にある3つの理念
この原則の根っこには、「人間の尊厳が尊重される社会」「多様な人々が多様な幸せを追求できる社会」「持続性ある社会」という3つの理念があります。なかでも「人間中心」が意味するのは、AIに過度に頼って人間の判断が支配されるのではなく、人間がAIを道具として使いこなすという姿勢です。便利さを優先するあまり、人間とAIの主従が逆転しないようにという戒め。賢く使う主役はあくまで人間だ、という宣言とも読めます。
社会が守る7つの原則
理念を具体化したものとして、①人間中心②教育・リテラシー③プライバシー確保④セキュリティ確保⑤公正競争確保⑥公平性、説明責任及び透明性⑦イノベーションの7つの原則が掲げられています。技術者だけのものではなく、社会みんなの約束事。AIを使う私たち一人ひとりや、社会の制度が心がけるべき共通の指針として整理されている点が特徴でしょう。
「開発者向けのルール」とは別もの
取り違えやすいのが、これはAIを作る企業への細かな規制ではないという点です。罰則のある法律ではなく、社会全体が共有する理念・原則にあたります。のちに作られたAI事業者ガイドラインのような事業者向けの具体的な指針は、この考え方を土台に組み立てられました。では、経営の現場でどう使えるか。自社のAI方針を考えるときの出発点や、対外的に説明する際のよりどころになります。
Topic国内の原則が、世界の合意の下敷きになった
人間中心のAI社会原則に関するよくある質問
- 2019年にまとめられた原則ですが、今も有効ですか?
- はい。2019年に決定された理念で、その後に作られたAI事業者ガイドラインなど具体的な指針の土台として参照され続けています。法律のように改正される性質のものではなく、AI政策の基盤として生きています。
- 同じ文書にある「AI開発利用原則」とは何が違いますか?
- 人間中心のAI社会原則は、AIを使う社会全体が大切にすべき理念です。一方の「AI開発利用原則」は、AIを作る・提供する事業者が考慮すべき個別の指針を指し、想定している相手が異なります。