AI PCとは
AI PCとは、AIの処理を専門に担うチップ「NPU」を積み、AIを端末の中で効率よく動かせるパソコンのことです。これまでAIといえばクラウド(事業者のサーバー)に頼るのが一般的でしたが、AI PCは手元のパソコンの中でAIを動かせるのが特徴です。半導体大手のIntelが2023年末ごろから広めた呼び名で、いまではパソコン選びの新しいキーワードになっています。AIを外に送らず自分の機械で処理できる、いわば「AIに強い体質のパソコン」と捉えると分かりやすいでしょう。
なぜ専用チップ「NPU」が要るのか
パソコンの頭脳といえばCPUやGPUですが、これらでもAIは動かせます。ではなぜ新しいチップが必要なのでしょうか。鍵は「効率」にあります。NPU(Neural Processing Unit)は、AIの計算だけを得意とする専用チップで、同じAI処理をより少ない電力でこなせます。だからこそ、バッテリーを大きく減らさずに、AIを常時動かし続けられるわけです。このNPUの性能は「TOPS」という単位で表します。TOPSとは1秒間に何兆回の計算ができるかを示す目安で、数字が大きいほどAI処理が速い、とおおよそ理解しておけば十分です。
「Copilot+ PC」との違いに注意
ここで気をつけたいのが、似た言葉「Copilot+ PC」との関係です。「AI PC」はNPUを積んだパソコン全般を指す、やや緩い業界用語。これに対し「Copilot+ PC」はMicrosoftが定めた、より厳しい認定です。具体的には、NPUが40 TOPS以上、メモリ16GB以上、ストレージ256GB以上、Windows 11の24H2以降といった条件を満たす必要があります。つまり、「AI PC」とうたわれていても、Copilot+ PCの基準に届かない機種もあるのです。Windowsの最新AI機能を一通り使いたいなら、単に「AI PC」かどうかではなく、Copilot+ PCの要件を満たすかまで確認しておくと失敗が少ないでしょう。
ビジネスでの意味
経営の視点では、AIを手元で動かせる利点が見逃せません。リアルタイムの翻訳や文字起こし、画像の加工、賢い検索などを、ネットにつながなくても動かせます。社外秘の資料をクラウドに送らずに処理できるため、情報漏えいの不安を抑えやすいのも利点でしょう。対応するチップも増え、QualcommのSnapdragon Xシリーズに続き、AMDやIntelの新しいプロセッサも顔をそろえました。一方で、すべての業務がいきなりAI PCで変わるわけではありません。まずは翻訳や要約など効果の見えやすい用途から試し、買い替えの優先順位を見極めるのが現実的な進め方になります。
Topic「40 TOPS」という数字は、どこから来たのか
Copilot+ PCの条件にある「40 TOPS以上」という基準。実はこの数字、適当に決められたものではありません。3つのAI処理を同時に、もたつかせず走らせられる最低ラインとして設けられた、という背景があります。たとえばオンライン会議で、ライブ字幕を出しながら、背景をぼかし、同時に話の要約まで進める。そんな「AIの同時並行」を破綻なくこなすのに、これくらいの力が要る、という目安なのです。数字の裏にある狙いを知ると、要件の意味も腑に落ちるでしょう。
AI PCに関するよくある質問
- いま使っているパソコンを、後からAI PCにできますか?
- 基本的にはできません。AI PCの心臓部であるNPUは本体に組み込まれたチップで、後付けや交換ができないためです。AI PCの機能を使いたい場合は、NPUを搭載した機種への買い替えが前提になります。
- AI PCでないと、ChatGPTのようなAIは使えないのですか?
- いいえ。クラウド経由で動くAIは、ふつうのパソコンでも問題なく使えます。AI PCの利点は、翻訳や要約などの一部のAI処理を、ネットにつながず手元の端末の中で動かせる点にあります。