AI内製化(えーあいないせいか)とは
AI内製化とは、AIの開発や運用を外部のITベンダーへ任せきりにせず、自社の人材と体制で進められるようにすることです。AIを使った業務改善のスピードを上げ、ノウハウを社内に蓄積する狙いがあります。生成AIの普及で一気に注目が高まりましたが、背景にあるのは日本企業の長年の「外注頼み」の構造です。
国も「任せきり」に警鐘を鳴らした
経済産業省が2020年12月28日に公表した「DXレポート2」は、ユーザー企業が自ら変革を主導する必要性を示し、受託開発に頼ってきたベンダー企業にも価値創造型への転換を求めました。同レポートに先立つ自己診断では、部門横断でDXを推進できている企業はわずか約5%(2020年10月時点)。デジタルの中核を外部任せにしてきた結果が、数字に表れた形です。
内製と外注の線引き
すべてを内製にする必要はありません。考え方の基本は、他社との差がつく業務はスピードと学びを重視して内製し、どの会社でも変わらない定型の業務は外注やパッケージで効率を取るという線引きです。内製の利点は、試行錯誤を素早く回せることと、業務データやAI活用の知見が社内に残ること。一方で、AI人材の採用・育成にかかる時間と費用、特定の担当者に頼りきりになる属人化というリスクも抱えます。
生成AIが下げた内製のハードル
かつてAIの内製は、専門のデータサイエンティストを何人も抱えられる大企業の話でした。2022年11月30日のChatGPT一般公開を境に状況は変わり、いまは生成AIがプログラム作成を手伝い、コードを書かずにAIを組み込めるノーコードAIのツールも増えたため、少人数のチームで小さく始める内製が現実的になっています。問うべきは「内製か外注か」の二者択一ではなく、自社のどの業務でAIの試行錯誤を内側に持つかでしょう。特定ベンダーから抜けられなくなるベンダーロックインを避ける意味でも、社内に「分かる人」を育てる投資は効いてきます。
Topic日本のIT人材は、7割が「ベンダー側」にいる
IPA(情報処理推進機構)の「DX白書2023」によると、日本ではIT人材の73.6%がIT企業側に所属しています(2020年の国勢調査ベース)。米国は逆に、IT企業所属は35.1%にとどまります(2021年時点)。つまり米国では技術者の多くが事業会社の中にいて、日本では社外のベンダーにいるのです。日本で「内製化」がわざわざ経営テーマになるのは、この人材の偏りが背景にあります。
AI内製化に関するよくある質問
- 中小企業にもAI内製化は関係がありますか?
- 会社の規模よりも、自社の強みに関わる業務でAIを試す機会があるかどうかで決まります。少人数でも、現場の社員が生成AIを使った業務改善を自分たちで回せていれば、それは立派な内製化の一歩です。
- 内製化とリスキリングはどう関係しますか?
- 深く関係します。AIの専門家を外から採用するだけでなく、業務をよく知る既存社員がAIスキルを学ぶ方が早いケースも多く、業務知識と技術の両方を持つ社員が内製の中心戦力になります。
- 内製化を進めたら、付き合いのあるベンダーは不要になりますか?
- 全面的に縁を切る話ではなく、役割の再設計です。高度な専門領域や定型部分は引き続き外部の力を借りつつ、自社の判断や試行錯誤が要る部分を内側へ移していくのが現実的な進め方です。