AP2(エーピーツー)とは

AP2とは、Googleが2025年9月に公開した、AIエージェントが人の代わりに支払いを行うための決済プロトコル(取り決め)です。正式名称はAgent Payments Protocol。AIが勝手に買い物をするのではなく、「利用者が確かにその購入を許可したか」を証明する仕組みを、決済の現場に持ち込もうとするものです。

英語表記:Agent Payments Protocol

「AIに任せた買い物」が生む3つの不安

AIエージェントが自分で決済まで進めるようになると、これまでの「本人がボタンを押して買う」という前提が崩れます。Googleは、AP2が次の三つの問いに答えるためのものだと説明しています。誰がその購入を許可したのか(権限)、AIの注文は本当に利用者の意図どおりか(真正性)、もし誤った取引が起きたら誰の責任か(説明責任)です。クレジットカード会社や決済事業者にとって、ここが曖昧なままではAIにレジを任せられません。

三つの「マンデート」で意思を残す

AP2の中核は、「マンデート(mandate)」と呼ばれる改ざんできない電子的な指示書です。利用者やAIの電子署名が付き、第三者が後から検証できる形(W3C Verifiable Credentials=検証可能な資格情報の規格)で受け渡されます。Googleの説明では、その内訳は3段階。「白いランニングシューズを探して」という最初の指示をとらえる意図マンデート、提示されたカートの中身と金額をその場で確定するカートマンデート、支払い方法に結びつける支払いマンデート。この連なりが、「誰が・何を・いくらで頼んだか」を後から否定できない記録として残るわけです

決済手段は選ばない、他の規格とも組み合わせる

AP2は特定の決済手段に縛られず、クレジットカードや銀行振込に加えて、ステーブルコイン(価格が一定に保たれるよう設計された暗号資産)にも対応するとされています。Mastercard、PayPal、American Express、Coinbaseなど60を超える企業がGoogleと協力しています。また、AIエージェント同士をつなぐA2Aや、外部ツールをつなぐMCPの拡張として使えるのも特徴でしょう。ChatGPT向けのエージェンティックコマースプロトコル(ACP)が買い物体験の接続に重きを置くのに対し、AP2は支払いの「認可」をどう安全に証明するかに焦点を当てているといえるでしょう。

Topic留守中に「発売と同時に買っておいて」が頼める

AP2が面白いのは、利用者がその場にいなくても成り立つ点です。たとえば「コンサートのチケットが発売されたらすぐ買って」と頼む場合、利用者は先に細かい条件(上限価格・時間・枚数など)を書いた意図マンデートに署名しておきます。AIはその範囲の中だけで、本人不在のまま購入まで実行。白紙委任ではなく、あらかじめ決めた「許可の枠」を電子署名で固めるという発想が、従来の「その都度ボタンを押す」決済との違いです。

AP2に関するよくある質問

AP2はもう実際の買い物で使えるのですか?
2025年9月に仕様が公開され、参加する決済・カード会社による実装が進む段階です。すぐに街中のすべての買い物で動くというより、対応サービスから順に広がっていく見込みです。
AP2に対応すると、自社の決済はGoogleの仕組みに置き換わりますか?
いいえ。AP2は支払いの「許可」を証明するための共通の取り決めで、既存のカードや決済事業者の仕組みを置き換えるものではありません。今の決済基盤の上で本人確認を強める役割です。
AP2が広まると、消費者の買い物はどう変わりますか?
AIに買い物を任せても、本人が許可した範囲や金額が記録として残ります。誰が何を頼んだかが後から確認できるため、AI任せの取引でも安心しやすくなる方向が期待されています。

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