Qwenとは
Qwenとは、中国のアリババ(Alibaba Cloud)が開発する大規模言語モデルのシリーズのことです。中国語の名前は「通義千問」で、多くが重みを公開するオープンウェイトとして提供されています。理解の鍵は、アリババ発であること、重みを公開していること、多くの言語に対応していることの3つです。

1つのモデルでなく、世代を重ねる「シリーズ」
Qwenは単一のモデルではなく、版を重ねてきた一族の総称です。2023年4月にベータ版、9月に一般公開され、その後Qwen2(2024年6月)、Qwen2.5(2024年9月)、Qwen3(2025年4月)と短い間隔で世代交代を続けてきました。2026年に入ってからも、公式リポジトリの記録では、Qwen3.5(2月)、Qwen3.6(4月)、Qwen3.8(8月)の重みが順に公開されています。小さくて軽いものから大きくて高性能なものまで、用途に応じて選べる多数のモデルがそろっているのが特徴です。Qwen3.5にはパラメータ(AIの規模を表す数)が8億の小型版があり、Qwen3.8の最大モデルは合計2.4兆パラメータ。処理のたびに全体の一部だけを動かす混合エキスパート型です。
重みを公開し、自社で動かせるモデル群
Qwenの大きな特徴は、多くのモデルを重みごと無償で公開している点です。誰でも自社のサーバーへ取り込み、目的に合わせて改良できます。AIモデルの共有サイトHugging FaceのQwen公式アカウントには、2026年9月時点で465件のモデルが並んでいます(同じモデルの軽量版も別の1件として数えた数)。世界中の開発者がこれらを土台に、自社向けに改良した派生モデルを数多く生み出してきました。中国発でありながら、世界中の開発者に使われるオープンモデル群を築いてきた点は、生成AIの担い手が米国の数社に限られないことを示しています。
ただし、すべてが同じ条件で公開されているわけではありません。465件のうち、商用利用も認める一般的なオープンソースのライセンス(Apache 2.0)は322件で、128件は独自のライセンスです。公式の説明では、最上位の「Max」級のモデルが重みごと公開されたのはQwen3.8が初めてで、その最大モデルも独自の「Qwen3.8-Max License」で配布されています。無償で商用にも使えますが、月間利用者が1億人、または月の売上が2,000万ドルを超える製品では、画面にモデル名をはっきり表示する必要があります。AIをAPIで外部に提供する事業や、コーディング・事務作業向けのAIアシスタント事業を営み、グループの売上が連続12か月で5,000万ドルを超える企業は、商用で使う前に別の許諾が必要です(外部に提供しない社内利用は対象外)。使う前に、そのモデルに付いているライセンスを1件ずつ確かめましょう。
日本語でも使えるのか
使えます。英語や中国語だけでなく、日本語を含む幅広い言語が対象です。2025年4月のQwen3は119の言語・方言に対応すると発表され、公式の対応表にも日本語が載っています。2026年2月のQwen3.5では、対応が201の言語・方言へ広がりました。Qwen3では、すぐ答える通常の応答と、いったん考えてから答える推論寄りの応答を、1つのモデルの中で切り替えられる仕組みも導入されています。自社で動かせて、改良もでき、言語の幅も広いという性質から、AIを内製したい企業にとって有力な土台の一つになっています。米国のモデルに偏らない選択肢という意味でも、知っておきたい存在でしょう。
企業での使われ方
重みが公開されているため、Qwenは自社のデータで追加学習させ、自社向けに仕立て直す土台として使われています。多くの開発者がQwenを出発点に、特定の業務や言語に強い派生モデルを作ってきました。外部のAPIに使うたびに料金を払う形と違い、自前で動かせば機密データを外に出さずに済み、使う量が多いほど費用の面でも見通しが立てやすいといった利点があります。AIを自社の資産として持ちたい企業にとって、現実的な選択肢の一つでしょう。
Topic「通義千問」の由来を説明したのは、AI自身だった
Qwenの中国語名は「通義千問」。2023年4月に招待制のテストが始まった時点で、アリババクラウドは名前の由来を公式には説明していませんでした。そこで中国の新聞「銭江晩報」の記者が、テスト用の招待コードでこのAI自身に尋ねています。返ってきた答えは、「通義」は幅広い分野の知識で質問を理解し答えられること、「千問」はよくある質問から複雑な質問、珍しい質問まで答えられることを表す、というもの。名付けられた側のAIが、自分の名前の意味を語っていたわけです。
Qwenに関するよくある質問
- Qwenを試したり、入手したりするにはどこを使いますか?
- 対話で試すなら、公式のチャット画面「Qwen Studio」(chat.qwen.ai)が入口です。自社で動かすための重みは、公式リポジトリの案内どおり、Hugging FaceとModelScopeの公式アカウントで配られています(ModelScopeは、Hugging Faceにつながりにくい環境向けに公式が勧める共有サイト)。サーバーの管理を任せたい場合は、公式のAPIサービス「Qwen Cloud」も案内されています。
- Qwenは画像も読み取れますか?
- 2026年2月のQwen3.5からは、文章と画像を最初から一緒に学習した一体型になり、1つのモデルで画像も扱えます。それ以前は、画像の理解にQwen3-VLのような画像向けの別系統が用意されていました。公式は、Qwen3.5が画像の理解を含むベンチマークでQwen3-VLを上回ったと説明しています。