ISO/CD TS 25280-2とは
ISO/CD TS 25280-2とは、記録管理へAI機能を適用する際の原則と考慮事項を扱う、ISOで開発中の技術仕様書案です。文書や業務記録を管理する仕事へAIをどう位置づけるかを対象とする計画。発行済みの規格ではなく、委員会で検討中の原案です。

正式名称:ISO/CD TS 25280-2 Information and documentation — Records management and Artificial Intelligence — Principles and considerations — Part 2: Application of artificial intelligence capabilities for records management
担当:ISO/TC 46/SC 11
段階:30.20(2026年9月18日時点)
何を扱う技術仕様書案?
題名を日本語で表すと、「情報及びドキュメンテーション―記録管理と人工知能―原則及び考慮事項―第2部:記録管理への人工知能能力の適用」に当たる名称。企業や行政が残す記録の管理へ、AIの能力を使う場面が対象です。
ただし、ISOの公開カタログで確認できるのは題名、担当委員会、開発段階などです。原案本文の要求や手順を一般公開情報だけから確定することはできません。「この案では自動分類や保存期間を必須にしている」など、未確認の要件を補わないことが重要です。
「CD」と「TS」は何を表す?
CDはCommittee Draft、つまり委員会原案という意味。専門委員会の中で内容を検討している段階で、最終的な文書ではありません。ISOカタログの段階コードは30.20で、2026年9月18日時点では「Under development」と表示されています。
TSはTechnical Specification、技術仕様書という文書種別です。開発が進んで正式に発行されれば、名称からCDが外れる可能性があります。番号が付いていても、接頭辞を含めて成熟段階を読むのが基本です。
25280シリーズはどう分かれる?
ISOのカタログには三つのプロジェクトが並ぶ構成。Part 1はAIが使われる環境での記録管理、Part 2は記録管理へのAI能力の適用、Part 3はユースケースと適用シナリオを扱います。Part 1(ISO/CD TS 25280-1)と本項目は、ともに段階30.20の委員会原案。Part 3だけは番号がISO/AWI TR 25280-3で、文書の種別が技術報告書(TR)、段階は20.00です。
この分け方から、AIを使う環境全体、AI能力を記録管理へ使う考え方、具体的な利用場面を別々に整理しようとしていることが分かります。技術報告書は、要求事項を課す文書ではなく参考情報をまとめる文書という位置づけ。ただし、各パートの内容と名称は開発中に変わる可能性があります。シリーズの一部だけを完成済みのルールとして先取りしないことが必要です。
企業はいま何を準備できる?
正式発行を待つ間にも、記録管理でAIを使いたい工程を棚卸しできます。対象となる記録、責任者、アクセス権、保存期間、削除、誤りを直す手順を一覧にし、AIを入れたときに誰の判断が変わるかを確認します。これは規格案の要求事項を先取りするのではなく、自社の現状を把握する作業です。
発行時期は、ISOのカタログからは分かりません。表示されるのは開発段階だけで、日付が出ないためです。社内の計画へ置くなら幅を持たせ、確定日として予算や契約の期限に組み込まないのが安全でしょう。
調達仕様や社内規程に番号を記載する場合は、「開発中の原案を参照」と明記し、定期的にISOカタログを見直します。発行後は原案との変更点を確認し、正式な適用範囲を読み直します。今は認証対応ではなく、変更に追随できる管理表を作る段階です。
ISO/IEC 42001と同じ?
同じではありません。ISO/IEC 42001は、組織がAIを管理するためのマネジメントシステム規格です。ISO/CD TS 25280-2は、記録管理へAI能力を適用する領域を扱う技術仕様書案。対象と文書の成熟段階が異なります。
ISO/IEC 42001を導入しているから25280シリーズへの対応も終わる、あるいは25280-2だけで組織全体のAIガバナンスが整う、とは判断できません。既存の記録管理規程、情報セキュリティ、AIガバナンスとの関係を、正式発行後に照合する必要があります。
Topic英国では頭に「PD」が付く
ISOのカタログは「ISO/CD TS 25280-2」と表示しますが、英国規格協会の開発ページは「PD ISO/TS 25280-2」としています。PDは英国側のPublished Documentという文書種別を示す接頭辞。しかも英国側の台帳には、2026年10月9日に草案、2027年5月10日に発行という予定日程まで並んでいます。同じ25280-2でも、どこの台帳を見るかで分かることが違うため、検索するときは両方の形を使うと、公式情報にも想定日程にも届きます。
ISO/CD TS 25280-2に関するよくある質問
- 正式発行後も名称にCDは残りますか?
- CDは委員会原案という開発段階を表すため、正式発行時には通常外れます。調達文書へ記載する前に、ISOカタログでその時点の名称を確認してください。
- 原案本文を見ずに社内規程へ要件を追加してよいですか?
- 公開カタログの題名だけから要件を推測するべきではありません。いまは自社工程の棚卸しにとどめ、正式文書を入手した段階で要求事項を照合してください。
- 2027年発行予定という日程で社内計画を立ててよいですか?
- その日程は英国規格協会が英国版について示している計画で、ISOが発行日を確定したものではありません。ISOのカタログは段階だけを示します。期日を前提に予算や契約の期限を決めず、段階の変化を定期的に確認してください。