アシロマAI原則とは

アシロマAI原則とは、AIの研究や開発が人類にとって良い方向に進むよう、研究者たちがまとめた23項目の指針のことです。2017年1月、米カリフォルニア州アシロマで開かれた会議で、著名なAI研究者や科学者が議論して作りました。AIが社会に広く知られるきっかけとなったChatGPTの登場(2022年)よりも前に、早くからAIとの付き合い方を考えようとした初期の代表的な原則集として知られています。

英語表記:Asilomar AI Principles

どんな内容なのか

23の原則は、大きく3つのまとまりに分かれています。研究の進め方に関するもの、倫理と価値観に関するもの、そして遠い将来を見すえた長期的な課題に関するものです。「AIの利益は広く共有されるべき」「人間が制御を保てるようにすべき」といった、いまの議論にも通じる考え方が並びます。主催したのはFuture of Life Instituteという団体で、Stephen HawkingやStuart Russellをはじめ多くの専門家が賛同しました。法的な強制力はなく、あくまで「こうありたい」という自主的な目標を掲げたソフトローの一つです。

後のAI原則とのつながり

アシロマAI原則は、その後に各国・各機関が打ち出すルールづくりの先駆けとなりました。2019年のOECD AI原則や日本の人間中心のAI社会原則、企業が掲げるAI原則など、いまや当たり前になった「AIをどう律するか」という議論の、ひとつの出発点にあたります。経営の視点で押さえておきたいのは、AIを安全に役立てるための共通の価値観づくりが、製品ブームよりもずっと早くから始まっていたという点でしょう。AI倫理責任あるAIといった今日のテーマも、こうした積み重ねの延長線上にあります。

Topicなぜ「アシロマ」という場所が選ばれたのか

会議の名にもなったアシロマは、ただの開催地ではありません。1975年、この同じ会議場で、遺伝子組み換え技術の安全性を心配した生物学者たちが集まり、自分たちで研究の一時停止やガイドラインを話し合った歴史があります。新しい科学のリスクに、規制を待つのではなく研究者みずから向き合った象徴の地なのです。AI版の会議があえてこの場所を選んだのは、「同じように私たち科学者が責任を持ってAIのルールを考えよう」というメッセージを込めたから。場所選びそのものが、ひとつの宣言になっていたわけです。

アシロマAI原則に関するよくある質問

アシロマAI原則には法的な拘束力がありますか?
ありません。研究者や専門家が自主的に掲げた目標で、いわゆるソフトローにあたります。罰則はありませんが、その後の各国のAI原則づくりに影響を与えました。
2017年の原則は、いま読んでも意味がありますか?
あります。AIの利益を広く共有すべき、人間が制御を保つべきといった論点は今日の議論にも通じ、初期の代表的な原則として参照され続けています。

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