コンポジットAIとは
コンポジットAIとは、機械学習などの1つの手法だけに頼らず、複数のAI技術を組み合わせて使うアプローチのことです。英語ではComposite AI、ハイブリッドAIや複合AIと呼ばれることもあります。1種類のやり方では解きにくい課題を、いくつかの技術の「合わせ技」で乗り越えようという考え方で、調査会社のガートナーが広めました。
なぜ「組み合わせ」が必要なのか
組み合わせる相手は、機械学習だけではありません。ルールにもとづく判断、数理的な最適化、知識グラフ、異常検知など、得意分野の違う技術を業務に応じて束ねます。なぜわざわざ組み合わせるのか。理由は大きく2つあります。
1つはデータが少なくても使えるようにするためです。機械学習は大量のデータがあって初めて力を発揮しますが、現場には「データは乏しいけれど、熟練者の知識は豊富」という領域が少なくありません。そこへルールや知識を足せば、薄いデータを補えます。もう1つは「なぜそう判断したか」を説明しやすくするためです。中身が見えにくい機械学習に、筋道の通るルールや論理を組み合わせると、判断の理由をたどりやすくなります。
生成AIとの関係
近年の生成AIとも、対立ではなく補い合う関係です。生成AIは文章を流暢に作れる反面、もっともらしい誤り(ハルシネーション)を出すことがあります。そこへ、論理やルールで正しさを点検する技術を組み合わせれば、流暢さと正確さを両取りしやすくなるという発想です。記号的なルールとデータ駆動の学習を融合する「ニューロシンボリックAI」も、コンポジットAIの一つの形と位置づけられています。
ビジネスでの位置づけ
コンポジットAIは、2020年にガートナーの技術トレンド集に新顔として登場しました。説明責任が問われる金融・製造・医療のように、「当たればよい」では済まない業務と相性がよいとされます。2024年には、生成AIへの過度な期待がいったん落ち着くなかで、「これからのシステムは複数のAI技術を組み合わせる前提で設計すべき」だという見方が示されました。派手な単独技術より、地に足のついた合わせ技に目を向ける流れといえるでしょう。
TopicAIは「万能の一品」ではなく「道具箱」
コンポジットAIの根っこにあるのは、「AIは何でもこなす万能の一品ではなく、用途で使い分ける道具箱だ」という発想です。あるベンダーは「解きたい業務課題によるが、2つから3つ、4つの技術を組み合わせたときに最も効果が出ることが多い」と説明しています。1つの最強モデルを探すより、目の前の課題にどの道具を合わせるかを考える。生成AIの登場で「AI=万能」の空気が強まったいまだからこそ、地味だけれど実務で効く視点だといえます。
コンポジットAIに関するよくある質問
- コンポジットAIは単なる機械学習と何が違いますか?
- 機械学習は大量のデータからパターンを学ぶのが得意ですが、それ単体です。コンポジットAIはそこにルールや知識グラフ、最適化などを組み合わせ、データが少ない領域や判断理由の説明が要る業務までカバーする点が違います。
- コンポジットAIと生成AIは競合するものですか?
- 対立するものではなく、補い合う関係です。生成AIはもっともらしい誤り(ハルシネーション)を出すことがあるため、論理やルールで正しさを点検する技術と組み合わせ、流暢さと正確さを両取りする使い方が想定されています。
- コンポジットAIはいつ頃から注目されているのですか?
- 2020年にガートナーの技術トレンド集へ新顔として登場しました。2024年には、生成AIへの過度な期待が落ち着くなかで、複数のAI技術を組み合わせる前提で設計すべきだという見方が広がっています。