AIセンターオブエクセレンスとは

AIセンターオブエクセレンスとは、組織の中に置く、AI推進を横断的に統括する専門部隊(中核拠点)です。AIの戦略・人材・ガバナンス・標準・再利用できる仕組みを一カ所に集め、全社のAI活用を「実験止まり」で終わらせず、価値を生むかたちに広げることを目的とします。略称は「AI CoE」です。

英語表記:AI Center of Excellence(CoE)

どんな役割を担うのか

AI CoEがやることは、大きく3つに整理できます。①事業戦略とAIをつなぐ(どの業務にAIを使うかを戦略に沿って決める)②ガバナンスと標準をつくる(設計・開発・運用のルールを定めて徹底する)③共有資産を提供する(人材育成・再利用できるツールやテンプレート・AI基盤)の3点です。部署ごとにバラバラだった取り組みを束ね、全社で再利用が効くようにします。

体制のかたちは1つに決まっていません。すべてを中央に集める形でも、各部門に権限を分ける形でもよいとされます。実際には中央でルールを決め、各部門が実装する「ハブ&スポーク型」がよく採られます。

DX推進室やMLOpsチームとの違い

混同しやすいのが、ほかの組織との線引きです。DX推進室がデジタル化全般を広く扱うのに対し、AI CoEはAIに絞った司令塔という位置づけです。また、MLOpsのチームが個々のモデルを動かし続ける「現場」だとすれば、AI CoEは全社の方針・ルール・人材育成・再利用の仕組みを整える「上のレイヤー」にあたります。どちらが偉いという話ではなく、役割の階層が違うと考えると分かりやすいでしょう。

経営から見た論点

AI CoEの狙いは、各所でバラバラに進むAIを一元化し、ガバナンスやデータ保護、再利用を効かせて「PoC(試験導入)止まり」から「全社展開」へ橋渡しすることにあります。ただし、組織(ハコ)を作れば成功するわけではありません。コンサルティング会社のデロイトは「CoEのEはexcellence(卓越)であってexperimentation(実験)ではない」と指摘しています。事業の中核課題に密着し、続けて成果を出さなければ、看板倒れの官僚組織になりかねない点には注意が要ります。

Topic「センターオブエクセレンス」はAI発の言葉ではない

センターオブエクセレンスという組織のかたちは、もともとAIのために生まれたものではありません。GEやアルコア、オーチス・エレベーターといった製造業の名門が、専門知識を一カ所に集めて全社で共有・標準化する仕組みとして古くから使ってきたものです。これをAIに当てはめ直したのがAI CoE。具体例としては、IBMのコンサルティング部門が2023年6月8日に「生成AIのためのCoE」を立ち上げ、発表の時点で生成AIの専門家を1,000人超えそろえたことが知られています。

AIセンターオブエクセレンスに関するよくある質問

AIセンターオブエクセレンスとDX推進室は何が違いますか?
DX推進室は業務・組織のデジタル化全般を広く扱います。AIセンターオブエクセレンスはAIに絞った司令塔で、AIの戦略・ガバナンス・標準・人材・再利用の仕組みを束ねる役割に特化している点が違います。
MLOpsチームとは役割が重なりませんか?
階層が異なります。MLOpsチームは個々のモデルを動かし続ける現場の役割で、AI CoEは全社の方針・ルール・人材育成・再利用の仕組みを整える上位のレイヤーです。
組織(CoE)を作れば成功しますか?
設置自体はゴールではありません。デロイトは「CoEのEは卓越(excellence)であって実験(experimentation)ではない」と指摘しており、事業の中核課題に密着して継続的に成果を出さなければ看板倒れになります。

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