用語 基本

深層学習とは

深層学習とは、人間の脳の神経回路をまねたニューラルネットワークを何層も重ねて、データから学ばせる機械学習の一分野です。ディープラーニングとも呼ばれます。画像に何が写っているかの判別や、音声の聞き取り、文章の翻訳まで、いまのAIが見せる高い性能の多くは、この深層学習が支えているもの。ChatGPTのような生成AIも、土台をたどれば深層学習にたどり着きます。

深層学習の多層ニューラルネットワーク構造を示す概念図(入力層・隠れ層・出力層の3種の層)

深層学習の仕組み

深層学習では、データを受け取る「入力層」、答えを出す「出力層」、その間で計算を担う「隠れ層」を、何層も積み重ねます。層を通るたびに、データの特徴が段階的に整理されていくイメージです。たとえば画像なら、初めの層は線やふちといった単純な形を、層が深くなるほど「目」や「顔」のような複雑な特徴をとらえていく、という具合。

名前にある「深い(ディープ)」は、この層の数が多いことを指しています。AIが物事を“深く理解している”という意味ではありません。層は3つほどのものから、数百・数千に及ぶものまであり、深く重ねるほど複雑なパターンをとらえられる、というのが基本的な考え方。

従来の機械学習では、「どこに注目して判断するか」という特徴を、人間が設計して教える必要がありました。深層学習の大きな進歩は、その注目すべき特徴そのものを、大量のデータからAI自身が見つけ出せるようになった点にあります。以前は専門家が「どこに注目すべきか」を手作業で設計する必要があり、そこに多くの時間と職人技が費やされていました。その負担を大きく減らせたことも、深層学習が急速に広まった一因。

機械学習・AIとの関係

深層学習は、機械学習という大きな分野の一部です。さらに、その機械学習をすっぽり含む、もっと広い枠がAI(人工知能)。「AI」「機械学習」「深層学習」は、外側から順に入れ子になった関係だと捉えると、頭の中が整理しやすいでしょう。

近年の生成AIの土台にあるTransformerという仕組みも、深層学習の一種です。ChatGPTのような大規模言語モデルも、深層学習の上に成り立っています。つまり深層学習は、いまのAIブームを足元から支える基盤技術といえるでしょう。

何に使われているか

深層学習は、画像認識・音声認識・自然言語処理・機械翻訳など、幅広い分野で実用化されています。スマホの顔認証、音声アシスタント、自動翻訳、写真の自動仕分けなど、気づかないうちに日常へ溶け込んでいるもの。

ビジネスでも、製造ラインの不良品検知、医療画像の解析支援、需要予測などで、人の目視や勘に頼っていた判断を後押しする形で広がりました。ただし、大量のデータと計算資源(GPUなど)が必要になりやすく、何でも深層学習で解くのが最適とは限らない点には注意が要ります。課題に見合った手法を選ぶ視点を持ちたいところ。

TopicいまのAIブームは2012年の画像コンペから始まった

長いあいだ、ニューラルネットワークは「理論は面白いが実用には今ひとつ」と見られていた時期がありました。その流れを一変させたのが、2012年の大規模画像認識コンペ(ImageNet)です。トロント大学のチームが作った「AlexNet」という深層学習のモデルが、2位に大きな差をつけて圧勝しました。きっかけは、大量の画像データと、ゲーム用に進化したGPU(画像処理用の高速な計算装置)、そして訓練方法の工夫が一度にそろったこと。この一勝が「深層学習はすごい」と世界に知らしめ、今日まで続くAIブームの号砲になったといわれます。

深層学習に関するよくある質問

深層学習の「深い」とは何が深いのですか?
層の数が多いことを指します。AIが物事を“深く理解している”という意味ではなく、入力層・隠れ層・出力層を何層も積み重ねていることを表します。
深層学習と機械学習の違いは?
深層学習は機械学習という大きな分野の一部です。人間の脳の神経回路をまねた仕組みで、より複雑なパターンを扱えるようにしたものにあたります。
深層学習はいつから注目されたのですか?
2012年の大規模画像認識コンペ(ImageNet)で、深層学習のモデル「AlexNet」が圧勝したのが大きな転機です。これが今日まで続くAIブームの号砲になったといわれます。