SGLangとは

SGLangとは、大規模言語モデル(LLM)を本番のサービスで高速に動かすための、オープンソース推論実行基盤です。学習し終えたAIに質問を渡し、答えを返すまでの処理をできるだけ速く・安くこなす「裏方のエンジン」だと考えると分かりやすいでしょう。研究者が集まる非営利団体LMSYSが中心となって開発しており、世界中のAIサービスを支える土台のひとつになっています。

速さの源「RadixAttention」

SGLangの目玉が、RadixAttention(ラディックスアテンション)という仕組みです。AIへの依頼には、毎回ほぼ同じ「前置き」が付くことがよくあります。たとえば社内チャットなら、全員に共通する長い指示文が先頭に入る、といった具合。RadixAttentionは、こうした共通する先頭部分の計算結果を自動でためておき、次の依頼で使い回します。同じ計算を何度もやり直す無駄が減るため、公式の説明では応答がおおよそ最大5倍速くなるとされています。これは複数リクエストにまたがってプレフィックスキャッシュを自動で効かせる発想です。

他の推論エンジンとの位置づけ

LLMを動かす推論エンジンには、vLLMをはじめいくつかの選択肢があります。SGLangもその一つで、特定の製品が突出して優れているというより、用途や規模に応じて使い分けられる関係と捉えるのが実態に近いでしょう。SGLangはJSONのような決まった形式の出力を速く生成するのも得意で、AIに構造化されたデータを返させたい場面で力を発揮します。なお名前に「Lang(言語)」が入るのは、もともとAIへの複雑な指示を書くための言語として始まった名残です。

経営から見た意味

こうした推論エンジンは、画面に出ない裏側の部品です。それでも、AIサービスの応答の速さと運用コストを直接左右する重要な土台。同じAIモデルでも、どのエンジンでどう動かすかで、待ち時間とサーバ代が大きく変わります。自社でAIを本格運用する段階になると、開発チームがこうした基盤を選ぶ場面が出てきます。名前と役割を押さえておくと、技術者との会話がスムーズになるはずです。

Topic「数兆トークンを毎日」という稼働規模

SGLangは小さな実験ツールではありません。公式によると、世界で40万台を超えるGPU上で動き、1日あたり数兆トークン(AIが文章を扱う最小単位)を処理しているとされます。数兆トークンは、文庫本に換算すれば毎日とてつもない冊数を読み書きし続ける量に相当します。論文として発表されたのは2023年12月で、ChatGPTが広まった直後の時期。そこから2年ほどで、研究プロジェクトが世界規模のインフラを支えるまでに育ったわけです。

SGLangに関するよくある質問

SGLangは大規模言語モデル以外にも使えますか?
テキストを扱う大規模言語モデルだけでなく、画像などを組み合わせて扱うマルチモーダルモデルの実行にも対応しています。幅広いAIサービスの裏側で使える基盤です。
SGLangは無料で使えますか?誰が使う技術ですか?
オープンソースとして無償で公開されています。主にAIサービスを開発・運用するエンジニアが、モデルを速く安く動かすために使う基盤で、経営者が直接さわるものではありません。
SGLangは今も開発が続いている現役の技術ですか?
はい。2023年12月に論文として発表されて以降も更新が続き、2026年時点でも新しい版が出ています。世界で40万台超のGPU上で稼働する現役の基盤です。

あわせて読みたい記事