AI21 Labsとは

AI21 Labsとは、イスラエルのテルアビブを拠点に、独自の大規模言語モデル(LLM)を開発するAI企業です。生成AIというと米国の企業を思い浮かべがちですが、イスラエルにも世界の最前線で競う開発元があります。同社を読み解く鍵は、研究者が率いる技術志向と、独自構造のモデルJamba」にあるといえるでしょう。

2017年に生まれた研究者主導の企業

AI21 Labsは2017年11月、イスラエルのテルアビブで設立されました。ChatGPTが世に広まる2022年より前から、言語を扱うAIの開発を続けてきた草分けの一社です。共同創業者は、スタンフォード大学の名誉教授Yoav Shoham氏をはじめとする3人の研究者・起業家。大学の研究に近い顔ぶれが、米国勢に対抗する独自の開発元を立ち上げました。2023年8月にはGoogleやNVIDIAなどから出資を受け、企業価値は約14億ドル(2023年8月時点)と評価されています。

独自構造のモデル「Jamba」

同社を象徴するのが、2024年3月に公開した基盤モデル「Jamba(ジャンバ)」です。今の生成AIで主流のTransformer(トランスフォーマー)に、長い文章を効率よく扱うMamba(マンバ)という新しい方式を組み合わせた、ハイブリッド構造が持ち味になります。一度に扱える文章量は最大で約25万6千トークン。これは分厚い資料を何冊分もまとめて読み込めるくらいの広さです。長い契約書や報告書を、丸ごと渡して処理させたい場面で力を発揮するでしょう。

ビジネスでの意味

AI21 Labsが狙うのは、一般消費者向けの対話アプリよりも、企業向けのAIシステムや開発者向けの基盤モデルです。2025年3月には、AIエージェントの計画と実行を支えるMaestro(マエストロ)という枠組みも発表しました。では、なぜ欧米以外の開発元を知っておくとよいのでしょうか。生成AIの調達先が米国の数社に偏りがちな今、イスラエル発という選択肢を持てることは、特定の一社に依存しない体制を考えるうえで知っておきたい視点です。

Topic創業者の一人は、自動運転を支えた「モービルアイ」の生みの親

AI21 Labsの会長を務めるAmnon Shashua氏は、自動運転の目となる画像認識技術で知られるMobileye(モービルアイ)の共同創業者でもあります。Mobileyeは2017年8月に米Intelへ約153億ドルで買収されました。奇しくも、AI21 Labsを立ち上げたのと同じ年です。一人の研究者が、自動運転と生成AIという二つの大きな波の最前線に立ってきたわけです。

AI21 Labsに関するよくある質問

AI21 LabsはOpenAIやGoogleと何が違いますか?
巨大IT企業ではなくイスラエル発の専業企業で、TransformerとMambaという二つの仕組みを組み合わせた独自構造で長文処理の効率を高めている点に特色があります。
「Jamba」という名前には意味がありますか?
Joint Attention and Mamba(共同注意とMamba)の頭文字をとった造語です。注意機構とMambaという二つの仕組みを組み合わせた構造を、そのまま名前にしています。
AI21 Labsはモデル以外にどんな製品を出していますか?
文章の言い換えや要約を手伝う作文支援ツール「Wordtune(ワードチューン)」が知られています。2020年に公開され、英語の文章を整えたい人に使われてきました。

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