ネオコグニトロンとは

ネオコグニトロンとは、1980年に日本の福島邦彦が発表した、文字や図形などの視覚パターンを認識するための階層型ニューラルネットワークです。いまの画像認識AIで広く使われる畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の源流とされ、AIの歴史で重要な位置を占めています。

英語表記:Neocognitron

脳の視覚のしくみをまねた階層構造

ネオコグニトロンの特徴は、単純な特徴から複雑な形へと、段階を追って認識を組み上げる点にあります。最初の層は「線の傾き」のような小さな部品を拾い、次の層がそれらを組み合わせて「目」や「口」のようなまとまりを捉え、最後に「顔」のような全体を認識する。こうした積み重ねによって、文字が多少ずれたり歪んだりしても同じ文字だと見分けられる柔軟さが生まれました。人間が手書き文字を読むときの感覚に近い、といえるでしょう。

現在の画像認識AIの源流

この「段階的に特徴を組み上げる」という発想は、のちの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)へと受け継がれました。CNNは顔認証や自動運転の画像認識など、現在さまざまな場面で使われている技術です。その直接の源流が、1980年の日本発の研究だったという事実は、あまり知られていません。深層学習を切り開いたルカン、ベンジオ、ヒントンらも、ネオコグニトロンの先駆的な役割を認めています。1980年といえば、ChatGPTの一般公開(2022年)より40年以上前。画像認識の基礎は、AIブームのはるか手前から築かれてきたのです。

Topicそのアイデアは猫の脳の実験から生まれた

ネオコグニトロンの設計は、猫の脳をのぞいた実験がもとになっています。研究者のヒューベルとウィーゼルは、猫の視覚をつかさどる脳の部分に細い電極を刺し、特定の傾きの線にだけ反応する細胞と、位置がずれても輪郭をとらえる細胞があることを突き止めました。この功績で1981年にノーベル賞を受賞しています。福島はこの「単純な細胞→複雑な細胞」という二段構えを電子回路でまねることで、ネオコグニトロンを作り上げました。脳科学とAIが手を取り合った好例といえます。

ネオコグニトロンに関するよくある質問

ネオコグニトロンは日本人の発明なのですか?
はい。1980年に、NHKの研究所にいた福島邦彦が発表しました。いまの画像認識AIの土台にあたる発明が日本から生まれた点は、あまり知られていません。
ネオコグニトロンは最近のAIブームのなかで生まれたのですか?
いいえ。1980年の発明で、ChatGPTの登場(2022年)より40年以上前です。画像認識の基礎研究は、深層学習が注目されるずっと前から積み重ねられてきました。
「ネオコグニトロン」という名前の由来は?
福島が先に作った「コグニトロン」という認識モデルの後継として、新しいという意味の「ネオ(neo)」を冠したものです。コグニトロンは認識を表す英語(cognition)にちなんだ造語で、その改良版という位置づけを名前で示しています。

あわせて読みたい記事