AIウォッシングとは
AIウォッシングとは、企業が自社の製品やサービスについて、実際よりもAIを高度に使っているかのように見せかける、誇張や虚偽の宣伝を指す言葉です。環境への配慮を装う「グリーンウォッシング」になぞらえた言い方で、AIブームに便乗して中身以上の期待をあおる行為を批判的に呼ぶときに使われます。
英語表記:AI washing
アメリカの当局が初めて摘発した事例
AIウォッシングが単なる流行語でないことを示したのが、2024年3月18日に米国証券取引委員会(SEC)が下した処分です。投資助言会社2社が、AIに関する虚偽の宣伝を理由に合計で約40万ドル(2024年3月時点)の制裁金を科されました。一方の会社は顧客データをAIで分析していると宣伝しながら実際には使っておらず、もう一方は裏付けのないまま「最初の規制対象AI金融アドバイザー」を名乗っていたとされます。SECのゲンスラー委員長は「実際にはAIを使っていないのに使っていると言って投資家を誤認させてはならない」と述べました。
なぜ問題になるのか
問題の核心は、買い手が「AI」という言葉だけで実力を過大評価してしまう点にあります。中身が伴わない宣伝は、投資家や顧客に誤った判断をさせ、本当にAIへ投資している企業の信頼まで損ないかねません。AIへの注目が高いいまだからこそ、言葉の華やかさと実際の機能を切り分けて見る目が求められるのでしょう。
経営から見たAIウォッシング
経営者にとってこの言葉は、二つの方向で効いてきます。一つはベンダーや取引先を見極めるとき。「AI搭載」という説明を鵜呑みにせず、何をどう自動化するのかを具体的に確認したいところです。もう一つは自社が無自覚にやってしまわないこと。実態以上の「AI活用」をうたえば、当局の処分や信用失墜のリスクに直結します。背伸びした表現より、できることを正確に伝える姿勢が結局は強いといえるでしょう。
Topic「〇〇ウォッシング」はどこから来た?
「ウォッシング(washing)」は、環境に優しいふりをする「グリーンウォッシング」から広まった言い回しです。もとは「whitewash=うわべを取り繕う」に由来し、1980年代に環境活動家が企業の見せかけのエコ姿勢を批判して使ったのが広まりのきっかけとされます。その後、社会貢献を装う「SDGsウォッシング」など派生語が次々生まれ、AIブームの到来で「AIウォッシング」が加わりました。新しい流行が来るたびに、それらしく装う企業が現れる。この語族は時代の流行を映す鏡のような存在だといえます。
AIウォッシングに関するよくある質問
- 「AI搭載」とうたう製品はすべてAIウォッシングですか?
- いいえ。実際にAIを使い、宣伝の中身が実態に見合っていれば問題ありません。AIウォッシングと呼ばれるのは、使っていない・効果が伴わないのに高度なAIを装う、誇張や虚偽の宣伝に限られます。
- AIウォッシングをすると法的な責任を問われますか?
- 問われる場合があります。米国では2024年3月に証券取引委員会(SEC)が、AIに関する虚偽の宣伝をした投資助言会社2社に制裁金を科しました。投資家や顧客を誤認させる表示は、各国の規制の対象になりうると考えておくのが安全です。