拡張知能とは
拡張知能とは、AIを人間の知能の「置き換え」ではなく「拡張・協働」と捉える考え方です。AIに仕事をそっくり肩代わりさせるのではなく、人がAIと手を組み、より良い判断や成果を出すことに重きを置きます。
英語表記:augmented intelligence
「人が主役」という立場
この言葉を広めた調査会社のGartnerは、拡張知能を人とAIが協力して、学習や意思決定の質を高めていく「人間中心のパートナーシップ」と説明しています。主役はあくまで人。AIは人の判断を支え、底上げするための相棒という位置づけです。AIの目的は、人をより賢く、より良い状態にすることだという考え方が、その根っこにあります。技術の話というより、AIとの付き合い方の「構え」を示した言葉だと捉えると分かりやすいでしょう。
AGI(汎用人工知能)とは、向きが正反対
ここで取り違えやすいのがAGI(汎用人工知能)です。AGIは、人に頼らず自律的に何でもこなす知能を目指すもので、いわば「人の代わり」を志向します。一方の拡張知能が向かう先は「人の代わり」ではなく「人の味方」。同じAIをめぐる言葉でも、向きはちょうど正反対です。AGIが「AIがどこまで到達できるか」という到達点の話であるのに対し、拡張知能は「AIをどう使うか」という姿勢の話。土俵が違うと整理しておくと、混同せずに済みます。
なぜ経営にとって使いやすい考え方なのか
「AIに仕事を奪われるのでは」という不安は、現場でAI導入が進まない大きな理由のひとつです。拡張知能の「AIは人を置き換える脅威ではなく、人を支える道具」という立場は、こうした不安をやわらげ、社員の納得を得やすくします。実際、いきなり全部を自動化するより、人とAIが役割を分け合うほうが、現実には成果につながりやすいものです。導入のハードルを下げる言葉として、経営の現場でも重宝されています。
TopicIBMいわく「AIは”拡張”知能の略であるべき」
IBMはかねて、「AIという二文字は、Artificial Intelligence(人工知能)ではなく、Augmented Intelligence(拡張知能)の略であるべきだ」と主張してきました。AIは人を置き換えるのではなく強化する技術だ、という立場の表明です。面白いのはここから。どちらの言葉も、略すと結局おなじ「AI」になってしまいます。IBM自身も「略語が同じだから混乱が続く」と認めているそうで、同じ二文字に正反対の哲学が同居している、というわけです。
拡張知能に関するよくある質問
- 拡張知能の具体例にはどんなものがありますか?
- 医師の画像診断をAIが補助して見落としを減らす、コールセンターでAIが回答案を出し人が最終判断する、といった使い方が例です。最終的に決めるのは人で、AIはその精度や速さを底上げする役回りになります。
- 拡張知能の考え方なら、人の仕事は減らないということですか?
- 必ずしもそうではありません。AIが定型作業を担う分、これまでの仕事の中身は変わります。ただ狙いは人を不要にすることではなく、人がより判断や創造に集中できるよう支えることにあります。