セマンティックネットワークとは
セマンティックネットワークとは、言葉や概念を点(ノード)として置き、概念どうしの関係を線(エッジ)で結んで、知識を網の目のように表現する方法です。日本語では意味ネットワークとも訳されます。文章で書くと埋もれてしまう「何と何がどうつながっているか」を、地図のように見える形へ起こすのが持ち味です。
「カナリアは鳥である」を線で持つ
線にはそれぞれ意味があります。代表は「〜は〜の一種」という上下関係、「〜は〜の一部」という部分と全体の関係、同義語・反対語の関係です。カナリアから鳥へ、鳥から動物へと線をたどれば、カナリアについて直接書いていない知識まで引き出せます。英語の語彙をこの形で丸ごと整理したWordNetという辞書が、その代表例です。
機械翻訳に始まり、検索エンジンに行き着いた
コンピュータへの実装は1956年、機械翻訳の研究のためにRichard Richensが行ったのが最初とされます。1960年代にQuillianらの研究で用語として定着しました。生成AIどころか、パソコンすらない時代の話。それほど古くからある考え方です。
この系譜は途切れていません。発展形は知識グラフと呼ばれ、2012年にはGoogleが検索結果の右側に人物や企業の情報をまとめて出すKnowledge Graphを導入しました。検索が「文字の一致」から「意味のつながり」へ踏み出した節目といえるでしょう。
社内の「つながり」も資産になる
では、これが経営と何の関係があるのか。実はこの考え方、社内データにもそのまま当てはまります。顧客・製品・担当者・取引履歴をバラバラの表ではなく関係の網として持つと、「この顧客と取引のある会社の関連案件」のような、つながりをたどる検索や分析が可能になります。データそのものに加えて、データ間の関係も資産になる。そう捉えると、情報整理への投資の意味が変わってくるはずです。
TopicルーツはAIより約1700年古い、3世紀の哲学にあった
概念を線でつないで整理する発想そのものは、コンピュータの発明よりはるかに古くから存在します。記録に残る古い例は、3世紀の哲学者ポルフュリオスによるものとされ、概念を上位から下位へ枝分かれさせて整理していました。「人工知能」という言葉が生まれる約1700年前のことです。最先端に見える知識グラフの根っこが古代哲学の整理術にあると知ると、技術の見え方が少し変わるかもしれません。
セマンティックネットワークに関するよくある質問
- セマンティックネットワークと知識グラフは同じものですか?
- 系譜としてはつながっていますが、同一ではありません。関係の種類を限定して大規模・実用向けに発展させたものが知識グラフと呼ばれ、セマンティックネットワークはその源流にあたります。
- ニューラルネットワークと名前が似ていますが、仲間ですか?
- 別物です。セマンティックネットワークは人が読める知識の地図であるのに対し、ニューラルネットワークは数値計算でパターンを学習する仕組みで、「ネットワーク」という言葉を共有しているだけです。
- 「セマンティック」とはどういう意味ですか?
- 「意味の」を表す英語semanticのことです。文字の並びが一致するかではなく、言葉が指す意味どうしの関係を扱う、という姿勢を表しています。