Watson(ワトソン)とは

Watsonとは、IBMが開発した、自然言語(ふだんの言葉)の質問に答えるAIシステムで、2011年に米国のクイズ番組で人間のチャンピオンを破ったことで知られる歴史的なAIのことです。名前はIBMの創業者トーマス・J・ワトソンにちなみます。読みは「ワトソン」。

大量の文書から答えを探し出す

Watsonは、自然言語処理機械学習を組み合わせ、100種類を超える手法で質問の意味を読み解き、根拠となる情報を大量の文書から探し出します。複数の答えの候補を立て、それぞれの確からしさをスコアで比べ、もっとも自信のある答えを選ぶ仕組み。膨大な資料を高速で照合し、人間のクイズ王よりも速く正解にたどり着きました。

ChatGPTのように「作る」のではなく「探す」

今の生成AIと混同しやすいですが、仕組みは別物です。Watsonは文章を新しく作り出すのではなく、すでにある文書の中から答えを探して選ぶのが基本でした。文章をなめらかに生成するChatGPTのような大規模言語モデルとは、得意分野も成り立ちも異なります。質問に「正しく答える」ことに磨きをかけたAIだったといえるでしょう。

2011年の衝撃と、その後の歩み

Watsonがクイズ番組で勝ったのは2011年2月で、ChatGPTの一般公開(2022年11月)より11年も前の出来事でした。賞金約100万ドルを獲得し、AIが言葉を扱う実力を世に印象づけます。もっとも、その後に期待された医療などの事業(Watson Health)は苦戦し、2022年には売却されました。華々しいデビューと、実用化の難しさの両方を示した存在といえます。

Topicクイズ王を破ったWatsonが「カナダの都市」と答えた

完璧に見えたWatsonにも、有名なつまずきがあります。番組の最終問題、カテゴリーは「アメリカの都市」でした。ところがWatsonの答えは「トロント」(カナダの都市)(正解はシカゴ)。ただし賭け金はごくわずかで、自信のなさは数字に表れていたとされます。問題文の前提をうまく読み切れなかった、AIらしい弱点が出た一幕でした。

Watsonに関するよくある質問

WatsonはChatGPTのような生成AIですか?
別物です。Watsonは文章を新しく作り出すのではなく、すでにある大量の文書の中から答えを探して選ぶのが基本でした。文章をなめらかに生成する大規模言語モデルとは、得意分野も成り立ちも異なります。
Watsonはいつ・何で有名になったのですか?
2011年2月、米国のクイズ番組で人間のチャンピオンを破り、賞金約100万ドルを獲得しました。ChatGPTの一般公開(2022年11月)より11年も前の出来事で、AIが言葉を扱う実力を世に印象づけました。なお名前はIBM創業者トーマス・J・ワトソンにちなみます。
Watsonにも失敗はあったのですか?
クイズ番組の最終問題で、カテゴリーが「アメリカの都市」なのに「トロント」(カナダの都市)と答えた有名なつまずきがあります(賭け金はごくわずかで、自信のなさは数字に表れていたとされます)。また期待された医療事業(Watson Health)は苦戦し、2022年に売却されました。