汎用AI行動規範とは

汎用AI行動規範とは、汎用AIモデル(GPAI)の提供者がEU AI法の義務を満たす手助けとなるよう、欧州委員会の主導でまとめられた自主的なガイドラインです。法律の条文だけでは「何をどこまでやれば順守になるか」が分かりにくいため、業界や専門家とともに”こうすればよい”という実務の手引きを用意したもの、と捉えると分かりやすくなります。

英語表記:General-Purpose AI Code of Practice

旧称:GPAI行動規範

誰が、どんな中身を作ったのか

策定はEUのAI Officeが取りまとめ、独立した議長団と約1,000のステークホルダー(開発者・研究者・市民社会・各国当局など)が関わりました。中身は「透明性」「著作権」「安全・セキュリティ」の3章で構成されます。透明性と著作権はすべてのGPAI提供者向け、安全・セキュリティの章はとくに強力なシステミックリスク付きGPAIの提供者だけが対象で、最も分量が多くなっています。最終版は2025年7月10日に公表されました。

「署名」と「法的義務」は別物

ここが最も誤解されやすい点です。EU AI法の順守そのものは法的な義務ですが、行動規範への署名はあくまで任意です。署名すれば、当局は「この提供者は義務を満たそうとしている」と扱い、執行や制裁額の判断で考慮されるため、企業にとっては順守を示す手間が軽くなり、予測も立てやすくなります。一方で署名しない企業は、別の方法でAI法を守っていることを自ら立証すればよく、署名しない=違法ではありません。

経営上の意味

EU向けに大規模な基盤モデルを提供する立場の企業にとって、署名は「順守の立証コストを下げ、当局との関係で見通しを得る」ための実務的な選択肢になります。署名は任意ですが、しなければ自前で順守を示す負担が残るだけです。同じEU AI法でも、規範はそれを満たすための”近道の手引き”であって、AI法の本体ではないという関係を押さえておくと、ニュースの読み解きが正確になります。

TopicMetaだけが署名を見送った

2025年7月に最終版が公表されたこの行動規範には、OpenAIGoogleMicrosoftをはじめ多くの大手が次々と署名しました。その中で、主要なモデル開発企業として公に署名を拒否したのがMetaです(2025年7月18日表明)。同社の幹部は「欧州はAIで間違った道を進んでいる」と述べ、規範がAI法の範囲を超える内容を含み法的な不確実性を持ち込む、と批判しました。署名は任意のため拒否しても違法ではありませんが、足並みの乱れが大きな注目を集めた出来事でした。

汎用AI行動規範に関するよくある質問

汎用AI行動規範に署名すると、AI法の義務は免除されますか?
いいえ。AI法そのものの順守は義務で、行動規範への署名は任意です。署名は順守を示す手間を軽くする手段であって、法的義務がなくなるわけではありません。
汎用AI行動規範に署名しない企業は違法になりますか?
署名は任意なので、署名しないこと自体は違法ではありません。その場合は別の方法でAI法の順守を立証する必要があります。実際にMetaは署名を見送っています。
汎用AI行動規範はいつ公表されましたか?
最終版は2025年7月10日に公表されました。これを支えるGPAIの義務(AI法本体)は2025年8月2日から適用されています。