デジタルレイバーとは
デジタルレイバーとは、RPA(定型作業を自動化するロボット)やAIを使い、人間の従業員に代わって、あるいは並んで業務をこなすソフトウェアの「働き手」のことです。ひとつの作業だけでなく、業務のまとまりを丸ごと担うものを指して使われます。「デジタルの労働力」「デジタルワーカー」と呼ばれることもあります。
RPAやボットとの違い
近い言葉のRPAやボットと、どう違うのでしょうか。RPAは「決められた手順を自動で実行する技術=手段」であるのに対し、デジタルレイバーは「その手段を使って働く”働き手”という捉え方」です。ボットがひとつの作業をこなす道具だとすれば、デジタルワーカーは職務をまるごと引き受ける存在として語られます。自動化ベンダーのオートメーション・エニウェアは「作業を自動化したいならボット、職務全体を担わせたいならデジタルワーカー」と説明しています。
AIエージェントとの関係
もともとはRPAの文脈で使われてきた言葉ですが、2024年以降の生成AIやAIエージェントの広がりで、その中身は大きく変わりました。いまのデジタルレイバーは、自律的に判断して動くAIエージェントを中身に持つことが増えています。両者は重なりますが、見ている視点が違うのです。AIエージェントが「技術のしくみ」を指す呼び方なのに対し、デジタルレイバーは「労働力・働き手」という経営や人事の目線でとらえた言い方だと整理できます。
経営から見た論点
活用が進むのは、請求書の処理、従業員の受け入れ手続き、本人確認(KYC)など、量が多くルールがはっきりした業務です。ここで誤解しやすいのが、「人員削減の話」だと受け取ってしまうこと。ベンダーや解説の多くは、人を置き換えるより人を補い、人は判断や改善に集中するための分業と位置づけています。あくまで「労働者」は比喩であって、実体はソフトウェアだという点も押さえておきたいところです。なお英語の「digital labor」は、学術分野ではプラットフォーム上で働く人間の労働を指すこともあり、ここでいう「デジタルの働き手」とは別の意味になります。
Topicデジタルの働き手に「名前」と「履歴書」を与える会社
デジタルレイバーを、まるで社員のように扱う動きが出てきました。コンプライアンス業務を自動化するワークフュージョンという企業は、自社のAIデジタルワーカーに「エヴェリン(制裁審査担当)」「タラ(決済の制裁スクリーニング担当)」「カイラ(本人確認担当)」といった人名を付けています。ウェブサイトには「エヴェリンの履歴書(Resume for Evelyn)」と題した、職務経歴書のような図まで掲載されているほどです。ソフトウェアに人格と肩書きを与える発想は、デジタルレイバーが単なるツールではなく「働き手」として捉えられていることをよく表しています。
デジタルレイバーに関するよくある質問
- デジタルレイバーとRPAは何が違いますか?
- RPAは「決められた手順を自動で実行する技術=手段」です。デジタルレイバーはその手段を使って働く「働き手」という捉え方で、ひとつの作業ではなく職務をまるごと担う存在として語られます。
- デジタルレイバーは人員削減のことですか?
- 削減の話に限りません。多くの解説は、人を置き換えるより人を補い、人は判断や改善に集中するための分業と位置づけています。「労働者」はあくまで比喩で、実体はソフトウェアです。
- AIエージェントとは違うのですか?
- 重なりますが視点が異なります。AIエージェントは自律的に判断して動く「技術のしくみ」を指し、デジタルレイバーは「労働力・働き手」という経営・人事の目線でとらえた言い方です。近年のデジタルレイバーは中身にAIエージェントを持つことが増えています。