ソフトローとは

ソフトローとは、法律のような強制力は持たないものの、企業や国の行動に実際に影響を与える指針・原則・行動規範などの「緩やかなルール」の総称のことです。違反しても罰則が科されるわけではありませんが、守らないと評判を落としたり取引で不利になったりするため、事実上は無視できない力を持ちます。

英語表記:soft law(対義語:hard law)

ハードローとの違い

対になる言葉が、法的拘束力を持つ法令を指すハードローです。ハードローは違反に罰則や強制執行が伴う代わりに、作るのにも変えるのにも時間がかかる。一方のソフトローは強制力こそないものの、素早く作れて柔軟に見直せる身軽さが持ち味です。国境をまたぐ課題でも、各国が「拘束される」と身構えずに合意しやすいという利点もあります。いわば、法律という固い背骨に対して、状況に応じてしなやかに動ける関節のような存在でしょう。

AIのルールづくりで果たす役割

AIの分野は、まさにソフトローが先に立ち、あとからハードローが追いかける典型例です。技術の進歩が速すぎて法律づくりが追いつかないため、まずは各国・国際機関が原則やガイドラインで方向性を示してきました。OECDのAI原則(2019年)やG7の広島AIプロセス(2023年)などはソフトローの代表例で、いずれもChatGPTが広く知られるより前後の時期に、国際的な土台づくりとして積み上げられたものです。そして実績がたまったところで、罰則を伴うEU AI法のようなハードローが登場します。いきなり厳しい法律で縛るのではなく、緩やかな合意から始めて少しずつ固めていくのが、AIガバナンスの現実的な進み方といえるでしょう。

Topic罰則がないのに「効いてしまう」ソフトローの不思議

ソフトローのおもしろいところは、強制力がないのに、いつのまにか事実上のルールとして定着していく点です。たとえば「従うか、さもなければ理由を説明せよ」という形で運用されると、企業は説明の手間を嫌って結局は従う方向に動きます。監督官庁が指針を実務の前提として扱えば、現場では守るのが当たり前になっていく。法律の条文には書かれていないのに、評判や慣行を通じて少しずつ「硬く」なっていくのです。柔らかいルールが時間をかけて骨格を帯びる、その過程自体がソフトローの妙味といえます。

ソフトローに関するよくある質問

ソフトローは守らなくても問題ないのですか?
法的な罰則はありませんが、守らないと評判を落としたり取引や調達で不利になったりします。監督官庁が実務の前提として扱うことも多く、事実上は無視しにくいルールです。
ソフトローはいずれすべて法律(ハードロー)に変わるのですか?
必ずしもそうではありません。柔軟さや国際合意のしやすさからソフトローのまま残るものも多く、ハードローと役割分担しながら併存するのが一般的です。

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